今回はストーリー構成をどのようにすれば読者に楽しんでもらえるか、その基本である起承転結についてわかりやすく解説します。
こんな人に読んでほしい
- 読者に楽しんでもらえるストーリー構成にしたい
- おもしろいストーリーの基本構成を知りたい
- 起承転結について詳しく知りたい
この記事を読むことで、おもしろいストーリー構成の基本中の基本、起承転結がどのようなものかが分かります。
そして、自ら作ったストーリーを起承転結にまとめ、おもしろいストーリー構成にすることができるようになりますので、ぜひ最後までお付き合いくださいませ。
起承転結とは
起承転結は有名なんで、分かる人も多いですよね
学校でも習うぽよ
図にすると、こんな感じです。
また、起承転結の盛り上がり具合をグラフにすると、こんな感じになりますね。
「起」から始まり、「承」で徐々に話が盛り上がっていき、「転」で一気にピークを迎え、「結」で盛り上がりが急降下して余韻を残しつつ終わる、といった感じです。
もう少し具体的に、起承転結の流れを見てみましょう。
「起」
- ①-1:日常の生活の中で、日常が変わる何かが起こる
- ①-2:変わった日常の中で、主人公が行動に出る
- ①-3:主人公の行動によって出来事が大きく動きだす
- ①-4:変わった日常の中で、主人公が何かしら決意
「承」
- ②-1:変わった日常の中で、何かしら出来事が起こる
- ②-2:出来事に対して何かしらキャラたちが行動に出る
- ②-3:出来事が解消し、ストーリーが前進する
- ②-4:出来事が収束する
②-1~4を繰り返し
「転」
- ③-1:主人公の最大の目的と直結する大きな出来事が起こる
- ③-2:最大の目的達成のために主人公が行動に出る
- ③-3:最大の目的達成に対する決着の瞬間!
- ③-4:主人公の目的達成もしくは決着がつく
「結」
- ④-1:目的達成もしくは決着後の日常の風景
- ④-2:主人公の目的達成もしくは決着に対する後日談が始まる
- ④-3:目的達成もしくは決着に対する主人公なりの答えを出す
- ④-4:そして日々はすぎていく……
お気づきでしょうか
「起」「承」「転」「結」の中も小さな「起承転結」になっているぽよ
そうなのですよ
ストーリーは小さな起承転結が集まって、大きな起承転結になっているのです。
例えば世界征服を企む魔王と、それを阻止しようとする勇者の物語があったとして、「起」となる第一話が「旅立ち」だったとしましょう。
「起:旅立ち」
- ①-1:起-起
平和な日々を送っていた町に、魔王の手下が攻めてきた - ①-2:起-承
民が逃げまわる中、勇敢な若者が立ち上がり、魔王の手下と戦う - ①-3:起-転
手下を撃破 - ①-4:起-結
魔王を倒す旅に出る
ね、起の中にも起承転結があるでしょう
「承」「転」「結」も小さな起承転結になっているわけぽよね
なぜ「起承転結」というものが存在するのか
「起承転結」以外に「三幕構成」や「序破急」という構成の考え方もあります。
「序破急」知ってるぽよ
エヴァぽよ
そうそう、劇場版エヴァンゲリオンの「序・破・Q」はこれが元ネタですね
で、どの構成がいいかっていうと、これはどれがいいとか悪いとか、そういう話ではないんですよね。
ストーリーを読者に楽しんでもらうためには、ストーリーの構成がきちんとまとまってきれいに終わる必要があります。
つまり、起承転結や三幕構成、序破急といったものは、ストーリー構成をきれいにまとめるための基本の型なのです。
じゃあ結局、どれを使ったらいいかは決まっていないのかぽよ
迷うぽよ
決まってはいないですけど、私のおススメはあります
ただ、それを語るにはまず「起承転結」と「三幕構成」を理解してもらう必要があります
ということで、今回の記事では起承転結、次の記事で三幕構成、さらにその次で私のおススメ構成を解説していきますね。
なぜ基本構成を無視しちゃダメなのか
やはり基本ガン無視はダメなのかぽよ
小説って義務で書くものでもないんで、別にダメとは言いません
ただ、基本を無視すると上手くいかない可能性が極めて高いから、大損しますよって感じですね。
例えばバスケには「左手は添えるだけ」みたいな基本がありますよね。
でも、基本無視してボールをぶん投げても、ゴールに入ることはあるじゃないですか。
じゃあゴールに入る確率はどっちが高いかっていうと、それはもちろん基本をしっかりマスターした人ですよ。
起承転結や三幕構成といった基本も、おもしろい作品を生み出す確率を上げるために存在するわけです。
だから、もしも基本ガン無視して偶然おもしろい作品が出来たとしても
「基本なんてありきたりを生むだけだし、無視が正解」
だなんて考えないほうがいいですよ。
ただし基本を無視するのではなく、基本を理解したうえで基本をあえてズラすのなら、そういったチャレンジは大いに意義があるかもしれませんね。
何にしても、基本はマスターしたほうがお得ってことぽよね
基本構成を無視した場合の悪い実例
試しに、起承転結などの基本を無視した場合、どのようなストーリー構成になるかを見てみましょう。
例1:「起」がやたら長い
- 平和な日々を送っていた
- しばらく、平和な日々のストーリーが続く
- そんなある日、魔王の手下が攻めてきたので、がんばって倒した
- 旅に出る勇者
- 魔王との闘い
- 無事に平和を取り戻す
この例の盛り上がり具合をグラフにすると、こんな感じ。
後半が面白かったとしても最初らへんがつまらなさ過ぎて、読むのやめるぽよ
例2:「転」の位置を無視したストーリー
- 平和な日々を送っていた
- 町に魔王が攻めてきたので、ピンチになりつつも頑張って倒す
- 魔王軍の残党がいる限り、本当の平和は訪れない!!
- 魔王の手下Aとのバトル
- 魔王の手下Bとのバトル
- 魔王の手下Cとのバトル
この例の盛り上がり具合をグラフにすると、こんな感じ。
一番の盛り上がりが最初にあるとか、そこから先は読む価値ないぽよ
いわゆる出オチってやつですね
出オチの後に、ダラダラ盛り下がるストーリーなんか読んでられません
これは盛り上がりの形が定まらないパターンなので、図にするのは難しいです。
しかし、基本を知らないで作ったストーリーは、おそらくこんな感じになることが多いんじゃないかな。
起承転結のストーリー構成にするには
「勇敢な若者が魔王を倒すストーリー」を例にして、起承転結を意識したストーリー構成を作ってみましょう。
ステップ1:エピソード出し
プロットづくりにも通じる話ですが、ストーリーの作り方としては、まず時系列を無視してエピソードを洗い出していきます。
洗い出し例
- 町で平和に暮らしていた主人公
- 魔王を倒す旅に出る
- いざ、魔王と対決
- 魔王を倒して平和を取り戻す
- 魔王の部下が町に攻めてきて、平和が崩れ去る
- 魔王の部下を倒す
- 勇者の持っていた伝説の剣の真の力が解放され、魔王の力を圧倒する
- 伝説の剣を魔王に突き立て、魔王を倒す
- 精霊を探しに行く
- 伝説の剣を持っている精霊を探し当てる
- 精霊から伝説の剣を受け取る
- 精霊が伝説の剣を持っていることを、A国の王様から聞く
- A国の危機を知り、A国を救いに向かう
- 伝説の剣がないと魔王打倒は無理だと悟る
かなり適当ですが、エピソードを洗い出しました。
ステップ2:「起」「転」「結」を決める
この状態から今度は 起承転結を意識しつつ、ストーリーの流れに沿ってエピソードを並べ替えます。
このとき、出したエピソードのうち「起」「転」「結」をどれにするかを決めましょう。
ただ、「起」と「結」は、まあ間違うことは少ないかと思いますが、注意すべきは「転」です。
「転」もすぐにわかるぽよ
「勇者の持っていた伝説の剣の真の力が解放され、魔王の力を圧倒する」と「伝説の剣を魔王に突き立て、魔王を倒す」ぽよ
今回の例題は説明を分かりやすくするためにすごく単純なストーリーにしたので、分かりやすいってだけです
一番の盛り上がりポイントって、意外と作者が客観的に見れていない場合があるんですよね。
そして盛り上がりポイントを間違えると以下のようになっちゃって、ストーリーの質が各段に下がってしまうんです。
こうなってしまうと、一番の盛り上がりの場面が過ぎ去った後もダラダラ続いて、せっかく面白かったのに残念な作品ってことになってしまいます。
作者が一番の盛り上がりを間違えるってあり得るのかぽよ
今回の例だと、一番の盛り上がりは魔王と勇者の決着がつくあたりですよね
だけど作者としては、実は魔王が残した爆弾があって、その爆弾がどこか分からずに探し回るという謎解き要素こそが推したい「おもしろポイント」だったとします。
爆弾探しで勇者には色んなピンチが訪れるわけですから、作者としては魔王を倒した後も面白い要素満載のつもりです。
だけど読者としては、最大の難関だった魔王を倒した後の消化試合みたいなものを読まされている気分になるわけですよ。
この場合、爆弾探しの謎解きストーリーは、一番の盛り上がりとなる魔王との決着の前に持ってきたほうが断然面白そうですよね。
こんな感じで、読者と作者で一番の盛り上がりポイントがずれてしまうと、上の図のような感じになっちゃうのです。
ステップ3:「起」「転」「結」の位置を意識しながら並べ替え
「起」「転」「結」を決めたら、あとはストーリーが成立するように並べ替えましょう。
「起」
- 町で平和に暮らしていた主人公
- 魔王の部下が町に攻めてきて、平和が崩れ去る
- 魔王の部下を倒す
- 魔王を倒す旅に出る
「承」
- A国の危機を知り、A国を救いに向かう
- 精霊が伝説の剣を持っていることを、A国の王様から聞く
- 伝説の剣がないと魔王打倒は無理だと悟る
- 精霊を探しに行く
- 伝説の剣を持っている精霊を探し当てる
- 精霊から伝説の剣を受け取る
- いざ、魔王と対決
「転」
- 勇者の持っていた伝説の剣の真の力が解放され、魔王の力を圧倒する
- 伝説の剣を魔王に突き立て、魔王を倒す
「結」
- 魔王を倒して平和を取り戻す
だいたいこんな感じですね。
ステップ4:「起」で読者を引き込めるか再検討
「起」はストーリーの始まりで、設定や世界観を知ってもらう部分ですが、読者を引き込む大事な部分でもあります。
なので、冒頭で説明ばかりになりそうだって思ったら、「起」の前にエピローグを足すことも検討してみてください。
他にも、設定などの説明を後回しにして、ストーリーをガンガン進めてしまうっていうやり方もあるぽよね
以下で解説しているので、合わせて読んでみるといいぽよ
「転」だらけストーリーは実は理想形
ひょっとして、「転」の盛り上がりをずっと保てば、それこそが最高傑作ではないのかぽよ
その考え方、意外と正しいです
もしも「転」ばかりのストーリーを作ろうと意識した場合、盛り上がり方は以下のようになるでしょう。
先ほど、起承転結は小さな起承転結の集まりだって話をしましたが、小さな起承転結の中で毎回すごい盛り上がりとなる「転」を用意できたら、どんどん面白くなっていくことが期待できますね。
自分のめっちゃハマった長編ストーリーを思い返してみてください
名言、名シーンがあっちこっちにあるぽよ
もしくはM1で優勝したサンドイッチマンやミルクボーイのネタも、爆笑の度合いをグラフにしたらこんな感じですよね。
長編の起承転結は、これが理想と言えるかと思います。
ストーリー構成についてさらに詳しく知りたい方は、 以下の記事も合わせて読むことを推奨です。
また、おもしろくて売れてる作品からストーリー構成を抜き出して、自分のものにしてしまう方法を以下の記事で解説していますので、興味あれば読んでみてください。
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まとめ
今回の解説内容
- 起承転結とは
- なぜ「起承転結」というものが存在するのか
なぜ基本構成を無視しちゃダメなのか
基本構成を無視した場合の悪い実例 - 起承転結のストーリー構成にするには
- 「転」だらけストーリーは実は理想形
起承転結の構成は以下のとおりぽよ
- 「起」は物語が始まる部分
- 「承」は色んな事が起こる一番長い部分
- 「転」は物語の一番の盛り上がり部分
- 「結」は物語の結末の部分
ちなみに起承転結は、さらに小さな起承転結が集まって、大きな起承転結になっていますね
起承転結は、ストーリー構成をきれいにまとめるための基本の型ぽよ
必ず守る必要があるわけではないですが、無視してはいけないのが基本というものです
スポーツでも基本ができている人と基本を知らずに自己流の練習ばかりしてきた人では、勝率に大きな差があります。
それと同じで、起承転結はおもしろいストーリーに仕上げる確率を上げるための技術なのです。
起承転結のストーリー構成にするには、以下の手順がやりやすいぽよ
- エピソード出し
- 「起」「転」「結」を決める
- 「起」「転」「結」の位置を意識しながら並べ替え
- 「起」で読者を引き込めるか再検討
まずは構成を気にせず、エピソードを出していきます。
出したエピソードのうち、「起」「転」「結」がどれにあたるかをはっきりさせます。
特に「転」は要注意。
ストーリーの中で一番の盛り上がりとなるエピソードがどれなのかを、しっかり押さえて決めましょう。
「起」「転」「結」の位置はだいたい決まっているので、これらを意識しながらエピソードを並べ替えていきましょう。
「起」は読者を引き込む始まり方になっているかをチェックして、もしも説明だらけになりそうなら冒頭にエピローグを足すなどして、インパクトのある「起」にしましょう。
「転」だらけストーリーは実は理想形ぽよ
人気の作品の多くは、おもしろい展開や熱いセリフなどの「転」をしっかり作りこんだ小さな起承転結が集合して、大きな起承転結を形成する構成になっていますよ。
起承転結についての解説はここまでですが、さらに構成を理解すべく、次の「三幕構成」に関する記事を合わせて読むことを推奨です。
ともあれ、おつかれさまでした
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