今回は、初心者でもこれがわかるだけで、文章力が一気に向上する小説の書き方と、読者に上手いと言ってもらえるテクニックについて解説します。
- 心に残る、刺さる文章が書けていない気がする
- そもそも文章が魅力的、すごい文章力だ、なんて言葉を耳にするけど、それって結局どういうこと?
- 上手いと言われる文章って、どうすれば書けるの?
小説を書いていると、こういった悩みがつきものですよね
我は、あんまり気にしたことないぽよ
そういった方も文章テクニックを知ることで、上手い文章がどういうものなのかを理解できるようになります。
また、魅力的な文章、心に残る文章の書き方がわかりますので、ぜひ最後までお付き合いください
文章にはリズムがある
文章のリズムとは?
テクニックの話の前に、まず文章にはリズムというものが存在する、ということを押さえておきましょう
読みやすさとか心地よさに関わるやつぽよね
リズムが良い文章だと、すらすらストレスなく読める、読んでて心地いい。
といった感じで、読者に好印象を持ってもらえます。
逆にリズムが悪い文章だと、どうにも読みずらい、読んでて疲れる。
ということになってしまい、読者も途中で読むのを止めてしまいます。
リズムについては、以下で細かく説明しているぽよ
合わせて読むことをオススメです
リズムが持つ、読みやすさ以外のもう一つの役割
では、リズムをキレイに整えてすらすら読める、心地よい文章が書けたとしましょう。
それだけで心に残る魅力的な文章となるでしょうか
ダメなのかぽよ?
ダメなことはないんですが、リズムが良いだけだと、心に刺さる、上手いと言ってもらえる文章にはならないんです
読みやすいって褒められるぽよ
あ、それは感想として言ってもらえる可能性ありますね
それはさておき、実はリズムには読みやすさ、心地よさ以外にも大事な役割があるのですね。
それは、質感を出すということです!
質感ってなにぽよ?
質感というのは目で見ることができたり、指で触ることができるもの。
聞こえてくる音、口に広がる味、いい香りや鼻をつんざく腐臭、そういった人間の五感を刺激するもののことです。
小説における文章とは、ただ状況や出来事を説明するためだけのものではないのですね。
- 『誰もいない教室』
ちょっと寂しさを感じる風景(視覚) 微かに聞こえる運動部の掛け声(聴覚) 微妙に香る埃っぽい匂い(嗅覚) 机の手触り(触覚) つい思い出す給食の味(味覚) - 『ビルが立ち並ぶ都会』
雑多な風景(視覚) 街の喧騒(聴覚) パチンコ屋や量販店独特のニオイ(嗅覚) ビル風(触覚) この街にしかない、うまいラーメン屋の味(味覚) - 『凄惨な事件の現場』
悲惨な被害者の様子(視覚) 警察官たちの声(聴覚) 腐臭(嗅覚) 事件現場の空気や証拠品の手触り(触覚) 思わず嗚咽した時の胃液の味(味覚)
そういったものが実際に見えているような、聞こえているような、触れているような。
文章にはそんな感覚を読者に感じてもらうという重要な役割があるのですよ。
小説を書いている人なら、情景描写って聞いたことありますでしょ
聞いたことあるぽよ
情景描写とリズムって、なにか関係あるのかぽよ
あります
リズムのいい文章は読みやすいけど、心には残りにくいです。
それはつまり、情景描写を読者に伝える表現としては弱いってことにもつながるわけですね。
そこで使うテクニックが「レトリック」と呼ばれるものです。
文章を魅力的にするテクニック「レトリック」
レトリックの定番『比喩』、例題を踏まえて解説
では、実際にどうすればそのような質感を生み出せるのかを説明しますね
レトリックって、初めて聞くぽよ
レトリックとは、読者の心に響くような印象深い言葉で文章を「飾りつけ」するテクニック。
飾りにはたくさんの種類があるのですけど、今回は最もポピュラーと思われるレトリック「比喩」を例に、説明します。
「比喩」は知ってるぽよ
何かに「例える」やつぽよね
そのとおりです
レトリックの中でも最も身近で、誰もが使っているものでしょう
お笑い芸人は、比喩の達人が多いんじゃあないでしょうかね
高低差ありすぎて、耳キーンってなるぽよ
お笑い芸人、フットのGoToが使っていたレトリックですね
ではでは、実際にやってみましょう。
- 「痩せた男が立っている」
この何の工夫もない文章で、「痩せた」ということを強調させたい場合、
- 「とても痩せた男が立っている」
強調はされますが、まったく面白味がないですよね
そこで
- 「枯れ木のように痩せた男が立っている」
という感じで、別の物に例えて「痩せた」という部分を強調する、これが比喩です。
「枯れ木」が痩せてることの比喩になるぽよね
そうですね
「とても」と書くよりも、痩せた男が立っている様子がイメージできますし、あたかも目で見ているようなリアリティを感じることができるわけです。
ただ、この「枯れ木のように」とか「鶴のように」という表現。
なんだかよく耳にする、ありきたりな言葉だなって思いますよね。
そこで自分なりの言葉に置き換える、ということを意識するのです。
- 「三輪車にぶつかっただけで骨折しそうなほど痩せた」
- 「アンガールズの田中と間違えそうなほどに痩せた」
ん? どういうこと?
と読者がその文章で止まって考えちゃうくらいの比喩を狙うのも、アリだと思います。
あえてクエスチョンを投げかけるレトリック
電車の中で周りを気にすることなく騒ぎ立てている酔っ払いの集団がいる、という状況を文章にしたとします。
- 「騒がしい酔っ払いの集団がいる」
この「騒がしい」という状況を強調する場合、
- 「とても騒がしい」
- 「ガヤガヤと騒がしい」
だと、普通の文章です。
読者も状況はわかりますが、サラッと読み流すでしょう。
そこで
- 「まるでサルの群れのように騒がしい」
というような比喩表現で飾ってみます。
まだ聞いたことあるような言葉だなって感じですね。
そう思ったら、ここで「自分なりの例え」を考えてみましょう。
- 「水をぶっかけて12時過ぎに飯を与えたグレムリンのような騒がしさ」
あえて「グレムリン」という古い映画のキャラクターで例えてみました。
グレムリンを知ってる人なら、すぐに情景が浮かぶでしょう。
グレムリン知らないぽよ
思わずググったぽよ
そういう効果も狙った比喩ですね
お笑い芸人のサンドウィッチマンさんがM1でやっていた街頭アンケートのネタの中で、
「どこの世界に佐藤・伊達とかいんだよ。テニスのペアか」
「つながった兄弟ってなんだ。ぴんから兄弟みたいになってんじゃねぇか」
と伊達さんが突っ込んでました。
「テニスのペア」はともかく「ぴんから兄弟」ってなんだ?
爆笑、爆笑が続いてる中で、急に聞きなれない「例え」が出てきて、聞いてる側もここで「どういうこと?」ってなりましたね。
いいリズムの中にこういった、読者が立ち止まってしまいそうな表現を混ぜることで、平坦な文章にメリハリが生まれます。
レトリックは「自分なりに」を意識する
よく耳にする比喩表現ってありますよね
例えば
- 「蜘蛛の子を散らしたような」
- 「目に入れても痛くないくらい」
- 「死んだ魚の目」
といった、誰しもが聞き覚えのある使い古された比喩表現は、リズムでいうなら、テンポもよくてすらすら読める文章です。
が、逆に言えばすらすら読めすぎてまったく心に残らない文章でもあるのですね。
比喩を使うなら「自分の言葉で」ってことぽよね
比喩に限らず、
- 「湯水のように」
- 「お金が飛んでいく」
- 「僕は僕だ」
- 「予想の斜め上を行く」
こういった聞き覚えがありすぎる表現を自分なりの言葉に置き換えて、文章を立たせましょう。
つまり
『副詞・形容詞→慣用語→自分なりに』
この「自分なりに」を意識することで、魅力的で心に残る文章を生み出すわけですね。
ちょっと私の例を。
「死神の鎌の切っ先がのど元に当てられたのかと錯覚してしまうほどの、鋭い目が俺を刺した」
ラノベとかの「なんて殺気だ」ぽよね
この文章は私の小説「医療術師は不完全」で使った比喩です
レトリックはスパイスのようなもの。かけすぎ注意
読みやすいのはいいことだけど、そればかりの平坦な文章は心に残らない、ということはわかっていただけたかと
難しいぽよ
はい、ここで注意です!
まず勘違いしてほしくないのは、すらすらテンポよく読める文章が決して悪いというわけではないってことです。
- 文章が平凡だ平坦だ
- もっといい文章にしてやる、すごい文章を書いてやる
という感じで、レトリックを使いまくるのは逆効果です。
そんなことをしたら、リズムが悪くなって読みづらい文章になっちゃいます。
読者からも「くどい、しつこい」と思われてしまいますよ
じゃあ、どうすればいいぽよ
レトリックはあくまでもスパイスなので、ここぞってところでふりかけるくらいが丁度いいです。
すらすら読めすぎて平坦な文章が続いているなと思ったら、要所要所で自分なりの言葉に置き換えた文章を入れていきましょう。
好きな作家先生の小説を読むとき、どのくらいの間隔でこういった独特の比喩表現を入れてるのかを観察しながら読んで、真似してみるのがよろしいかと。
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まとめ
- 文章にはリズムがある
『文章のリズムとは?』
『リズムが持つ、読みやすさ以外のもう一つの役割』 - 文章を魅力的にするテクニック「レトリック」
『レトリックの定番『比喩』、例題を踏まえて解説』
『あえてクエスチョンを投げかけるレトリック』
『レトリックは「自分なりに」を意識する』
『レトリックはスパイスのようなもの。かけすぎ注意』
文章にはリズムがあるぽよ
リズムがいい文章は読みやすいし、リズムが悪いと読みづらい文章になりますね
リズムがいいだけの文章は、読みやすいけど心に残りにくいぽよ
リズムには読みやすさ以外に、質感を出すという役割があります
質感のリアリティを高めて、読者の五感に残るような文章テクニック、それが「レトリック」です。
レトリックで有名なのは「比喩」ぽよね
「枯れ木のように痩せた」「死んだ魚の目」というのはよく聞く比喩ですね
こういった比喩を自分の言葉に置き換えることで、魅力的な文章、心に残る表現が生まれます。
だけどレトリックは使い過ぎに注意ぽよ
レトリックはあくまでも料理におけるスパイス
かけすぎるとリズムが悪くなって、読みづらい文章になります
自分の文章が平坦になり過ぎているなと思ったら、ここぞというときに使って、文章にメリハリをつけましょう。
では、レトリックを駆使して、魅力的で読者の心に残る小説を書いてみてくださいませ。
おつかれさまでした
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