今回はミステリー小説が書きたい、書いている人に向けて、ミステリーに必要なキャラの役割や作り方について解説します。
こんな人に読んでほしい
- ミステリー、サスペンス小説が書きたい
- ミステリーに必要なキャラと、その役割を知らない
- ミステリーならではのキャラの生み出し方、作り方について知りたい
この記事を読むことで、ミステリーに必要なキャラとその役割がわかります。
そして、自分でもミステリーのキャラを作り出して上手く配置させ、自分の考えたミステリーの面白さを引き立てることができますので、ぜひ最後までお付き合いくださいませ。
ミステリーに必要な登場人物7種
ミステリーには、ミステリーならではの役割を持った7種類の登場人物が存在します。
ミステリーに必要な登場人物
- 謎を解く探偵役
- 探偵の相棒的存在のワトソン役
- 被害者・依頼者
- 真犯人
- 容疑者
- ミスリード役
- 情報を提供するサブキャラ
どんなジャンルにも役割を持った登場人物の種類は存在しますが、なぜ種類が決まっているかというと、そのジャンル特有のおもしろさを引き立てるためなんですね。
例えば恋愛であれば「主人公」「ヒロイン」「ライバル」が必ず存在しますが、それは三角関係を作ることで恋愛特有のドキドキだったりモヤモヤを引き立てるためです。
ミステリーの場合は謎解きとスリルが一番の醍醐味ですね。
なのでこの7種類の登場人物は、 謎解きとスリルを引き立てるために必要だってことは押さえておきましょう。
1.謎を解く探偵役
探偵役がいないと始まらないぽよ
キャラの作り方として、ギャップを持たすっていうのはよく言われますが、特に探偵役の場合はギャップを活かすのがめっちゃ重要でして、もはや必須事項だと思ってください。
ギャップって何ぽよ?
こういうやつ
- 不良だけど、誰も見てないところでは猫にデレデレしている
- クラスではいつも一人で目立たないけど、実はラップバトルのレジェンドだった
- 最強の格闘家だけど、虫が苦手でバッタも触れない
こういった、見た目に反した意外な一面があったら、
「近寄りがたいって思ってたけど、意外とそんなところもあるんだ」
「暗いやつって思ってたけど、実はすごいんだな、かっけー」
ってなるでしょう。
これがギャップです
探偵役というのは基本的に天才ですよね。
状況判断も適格だし、犯人のちょっとした一言や仕草も見逃さない観察眼も持っています。
そうでなければ探偵役はつとまらないぽよね
そういう天才が、見た目も綺麗で東大を首席で卒業して、さわやかで言葉遣いもぬかりなく、ミス一つない完璧な人間だったとしたら、好きになれないでしょ。
面白味もありません。
ちなみに、名探偵コナンって工藤新一のときより子供の状態の方が格好良くないですか?
我も工藤新一はそんなに好きじゃないけど、コナンは好きぽよ
子供の姿なのに頭脳は大人っていうギャップがあるから、格好良く見えるし好きになれるんですよね。
まあ工藤新一にも、痛いレベルのくっさいセリフを本気で言ってしまうっていう部分は、中二病こじらせて親近感が湧いたりもしますけど。
ということで、探偵役は天才ってだけですでに親近感が湧きづらい登場人物ですし、意外な弱点や性格面、見た目でのギャップを設定して、親近感を湧かせましょう。
【弱点でのギャップ】
- 天才だけど、母ちゃんが怖い
- 天才だけど、美女に弱くてハニートラップにはすぐに引っかかる
【弱点でのギャップ】
- 天才だけど、子供みたいに好奇心旺盛
- 天才だけど、内向的で人見知り
【見た目でのギャップ】
- 天才だけど、格好がいつもダサい
- 天才だけど、髪の毛がぼさぼさで寝ぐせがヒドイ
2.探偵の相棒的存在・ワトソン役
ワトソン役は探偵役とは反対の凡人キャラ、読者に一番近い立場の人間です
謎解きが醍醐味なら、探偵がいればいいぽよ
相棒なんて必要ないぽよ
小説などの物語というのはジャンル問わず、読者に物語を疑似体験してもらうことが最大の目的です。
それにミステリーにはもう一つ、スリルを楽しむという醍醐味もありましたね。
探偵は天才だから、読者に近い思考を持ってるとは言い難いでしょ。
それに色々と見透かしちゃってるんで、探偵だけだと読者が味わえるスリルも半減です。
一方、相棒キャラというのは読者の分身みたいなものなんです。
一般人の立場で事件に関わることで読者に感情移入してもらい、謎が明かされていくドキドキと何が起こるか分からないスリルを味わってもらうためにいるのです。
それを聞くと、超重要人物ぽよね
そのとおり!
稀に、天才でも何でもない一般人が一生懸命謎を解いていくミステリーもあります。
そういった場合は相棒がいないこともあるんですが、これは探偵役と相棒役を一人でこなしている作品だということです。
ミステリーには必ず、読者の分身として事件に関わる一般人が必要ってことですね。
探偵と相棒については、以下の記事も参考になるかと。
3.被害者・依頼者
殺された被害者ぽよね
人が死なないミステリーでも、何らかの被害にあった人物がいたりします。
日常ミステリーだと被害者ではなく、どちらかというと謎解きの依頼をする人がいたりします。
つまり、謎解きには必ずきっかけがあって、そのきっかけを作る人物を用意する必要があります。
探偵役や相棒役が、依頼者になることもありますね。
被害者の場合は、なぜ被害にあったのかを用意する必要がありますし、依頼者の場合は、なぜ依頼する必要があったのかを用意しなければいけません。
この「なぜ被害にあったのか」「なぜ依頼する必要があったのか」も、解き明かす謎の一つとしてミステリーを盛り上げる要素になります。
4.真犯人
真犯人が誰なのか、この謎を解き明かすのもミステリーの醍醐味ですよね
誰が犯人なのか分からないと、ハラハラドキドキするぽよ
被害者自身が真犯人(自殺)だったり、探偵役や相棒役が真犯人だったりといった変化球的なパターンもありますね。
どうやって意外性を出し、最後まで分からない真犯人を作り上げるかが、ミステリーの難しいところでもあります。
読者にヒントを与えなければいいぽよ
新事実を隠しておけば、バレにくくなるぽよ
なんてことは考えちゃだめですよ
むしろミステリーでは、直接的な事実は伏せるにしても、事件を解くための手掛かりや真実を読み解くヒントなどは全て読者に提示するのが暗黙のルールだったりします。
それが出来ていないミステリーはアンフェアと呼ばれて、「それはないわー」って読者に言われちゃうのです。
だから、真犯人を隠し通すのは難しいんです。
真犯人については、こちらの記事も参考になるかと。
5.容疑者
さあ、これから犯人捜しをするぞ!
容疑者は一人ぽよ
犯人はそいつだー!!
これだけでも、容疑者の必要性はわかりますでしょ。
容疑者が一人だと、二人ババ抜き、二人で人狼ゲーム状態ぽよね
複数の容疑者を出したら、その中の誰が犯人か分からないような工夫をする必要がありますね。
容疑者たちの作り方の例
- 容疑者それぞれに、被害者を殺してもおかしくない動機を用意する
- 容疑者全員にアリバイを作る
- 容疑者全員に、被害者や容疑者同士の相関関係的なつながりを用意する
- 容疑者全員に、謎の行動や言動を用意する
例えば、
Aの過去を知る者はいない
Bは過去に容疑者と何かあったらしい
Cは突然「俺だけは死なない理由があるんだ」とか言い出す - 容疑者全員が、事件に関連する過去の出来事に関わった事実などを用意する
6.ミスリード役
ミスリードって何ぽよ?
ミスリードというのは、作者が意図して読者を間違った推理に導くようにすることです
先ほどの容疑者の説明では、誰が犯人かが分からないようにすると説明しましたね。
でも真犯人ではない容疑者の中に、あえてコイツが犯人だろと読者に思わせて誤解させるキャラを用意するんです。
ミスリード役はこんなやつ
- みんなの前で被害者への恨み言をつぶやいて去っていく
⇒読者「犯人はコイツだろ」 - 事件を調べている探偵と相棒を、物陰からじーっと見ている
⇒読者「コイツ怪しすぎだろ」 - 一人だけアリバイがない
⇒読者「コイツ以外に犯行無理じゃん」
ミスリード役を用意することで、以下の効果が狙えます。
- 真犯人が読者にバレにくくなる
- ミスリード役が犯人じゃないと知った瞬間、読者を驚かせることができる
- 真犯人を知ったときの衝撃度が増す
ミスリード役は必ずしも必要というわけではないですが、ストーリー的に犯人がばれてしまいそうだと思ったときは、ミスリード役を用意して真相を上手く隠しましょう。
7.情報を提供するサブキャラ
ミステリーには、事件に関連する情報を持っているモブキャラなども必要です。
謎を解くための情報を持っている人物がいないと、謎を解きようがないですからね。
状況だけで真犯人が分かることもあるんじゃないのかぽよ
情報提供キャラがいなくても成立することもあるぽよ
ミステリーで解く謎は、真犯人の正体だけではありませんよ
被害者や容疑者の過去の出来事、動機、トリック、人間関係や因果関係、真犯人を指し示す決定的な証拠などなど、これら全てを解き明かすことが、ミステリーの面白さです
ミステリーでは、これらすべての要素をパズルで例えることがありますね
「まだ事件を解くためのピースが足りない!」
とかってセリフを聞いたことないです?
つまり、パズルを完成させるためのピースを持っているのが、情報提供キャラなわけです。
ちなみに、主人公が自ら動かなくてもピースを持ってきてくれる、便利な情報提供キャラを用意するのも、ミステリーの常とう手段です。
どんなキャラぽよ
ジャーナリストや警察関係者ですね
そういった立場のキャラで探偵や相棒と顔見知りだったり仲間だったりすると、ストーリーを組み立てる上でも、すごく便利です。
おまえに頼まれていたもの、調べといたぞ
ありがとう、おっさんぽよ
みたいなやり取りだけで、過去の出来事や裏の人間関係といった情報を持ってくることができるんです。
余談ですが、探偵役や相棒役が警察やジャーナリストだった場合、作品を書く難易度が上がります。
なぜかというと、警察組織内のルールや捜査の段取り、組織内の派閥などの内部事情にも気を配ってストーリーを作る必要があるからです。
ジャーナリストにしても、職業特有のルールや手順などが分かっていないと、読者にツッコミを受けることにもなりかねないし、リアリティもなくなります。
実際に私も、過去作品で読者のツッコミを受けたことがあります。
だから、探偵や相棒の立ち位置ではなく、あくまで情報提供役くらいの距離感にしたほうが、ストーリー作りとしては難易度が低いでしょう。
とはいっても警察やジャーナリストを出す以上は、そのキャラの職業についてある程度資料を集めたり取材したりは必須ですよ。
調べる粒度の問題で、主人公キャラよりは情報提供キャラくらいの方が楽だってことです。
誰を主人公にしたほうがいいか
ミステリーに限らず、主人公には大きく2種類が存在します。
- ヒーロー、アイドル型
- 共感型
ヒーロー、アイドル型の主人公は読者にとっての憧れの存在になるタイプで、どんな困難にも立ち向かい、解決させるキャラです。
共感型の主人公は、弱さや悩みを抱えていたり、天才や上位の人間に対する劣等感があったり嫉妬するなど、一般人に近くて読者が共感できるようなタイプです。
これってまさに探偵役と相棒役に当てはまりますよね
探偵役が「1」で相棒役は「2」ぽよね
漫画や映画の場合、主人公は「1」のタイプが多いかもしれません。
しかし、小説の場合は「2」の共感型タイプの主人公が多いんです。
特に一人称で書かれた小説だと、探偵役の視点で書かれることはほとんどないんですよ。
なぜかっていうと、一人称の小説は読者への感情移入こそが最大のメリットだからです。
探偵役は天才で憧れの存在なので、探偵役の視点だと、どうしても感情移入しづらいのですね。
だから、ミステリー小説は相棒役を主人公にして、一般人の視点で読者に感情移入させたほうが、圧倒的に書きやすいというわけです。
容疑者たちは序盤で登場させる
「ノックスの十戒」って知ってます?
宇宙の果てを知らないように、そんなもの知らんぽよ
ミステリーのお約束事10か条っていうのがあって、それを「ノックスの十戒」と呼ぶんですけど、これの中でもこういったことが言われています。
- 犯人は小説の初めから登場している人物でなくてはならない!!
確かに、ストーリーの中盤あたりから出てきたキャラが犯人だと、なんだか微妙ぽよね
序盤から出ていないキャラは読者もあまり馴染みがないから、ポッと出てきたやつが犯人という印象を受けてしまい、意外性もなくて「ふーん」で終っちゃいます。
クライマックス付近で登場した奴が犯人とか、もう最悪でしょう。
犯人キャラが最後の最後にでてきた話を子供のころに火サスで見たことありますけど、未だに覚えてるくらい「そりゃねえっしょ」って思っちゃいました。
で、犯人は序盤に出るものだってことは暗黙の了解みたいな部分もあるんで、真犯人以外の容疑者も序盤で出しきっちゃいましょう。
序盤で出たのが犯人だけだと、すぐに予想されちゃうぽよね
そういうことです
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まとめ
今回の解説内容
- ミステリーに必要な登場人物7種
1.謎を解く探偵役
2.探偵の相棒的存在のワトソン役
3.被害者・依頼者
4.真犯人
5.容疑者
6.ミスリード役
7.情報を提供するサブキャラ - 誰を主人公にしたほうがいいか
- 容疑者たちは序盤で登場させる
ミステリーには『謎を解く探偵役』が必須ぽよ
ミステリーの醍醐味の一つである謎解きは、この探偵役がいないと始まりませんね
探偵役は天才が多いので、意外な欠点などを足して親近感を出し、好きになってもらえるキャラにしましょう。
『探偵の相棒役』は読者の分身ぽよ
読者に感情移入してもらったりストーリーを疑似体験してスリルを味わってもらうのが、相棒の役割です
『被害者・依頼者』は謎解きのきっかけを作る役目ぽよ
被害者がいるから犯人探しが始まるし、依頼者がいるから謎解きが始まります
『真犯人』が誰なのかを探すのが、ミステリーで一番面白いところぽよ
アンフェアにならないようにしつつ、様々な工夫をこらして、真犯人が分からないようにしなければならないわけです
真犯人がバレないように工夫するのが、もしかすると一番難しいかもしれません。
真犯人以外にも『容疑者』がいないと、真犯人が分かってしまうぽよ
真犯人が分かったうえで、どうやって証拠やトリックを暴くかといったミステリーもありますので、必ずしも容疑者が複数いるとも限らないですが、多くの場合は必要になりますね
『ミスリード役』がいれば、真犯人が分かりにくくなったり、真相が分かったときの驚き度も増すぽよ
ミスリードはミステリーの常とう手段ですので、ぜひとも入れておきたい登場人物です
『情報を提供するサブキャラ』は、事件という名のパズルを解くためのピースを持っているぽよ
事件とは直接関係のない喫茶店のマスターや、土地の歴史、過去の出来事に詳しいじいさんばあさんなどなど
警察関係者やジャーナリストが主人公たちと顔見知りの場合、裏で勝手に調べてきてくれる便利な情報提供キャラになります。
ミステリーでは探偵より相棒を主人公にしたほうが書きやすいぽよ
相棒は読者の分身みたいなキャラですから、その視点で書いた方が感情移入してもらいやすいですね
真犯人や容疑者は序盤で登場させるのがセオリーぽよ
中盤以降に登場したキャラが犯人だと、印象も薄いですし、しらけさせてしまう可能性もありますね
では、ミステリーに必要な登場人物たちを上手く配置して、おもしろいミステリーを作ってみてください。
おつかれさまでした
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