時代小説の書き方をプロ作家先生に聞いてみた【小説の書き方】

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ストーリー基礎

今回は時代小説のプロ作家先生に、時代小説の書き方の極意を取材して聞いてきましたので、惜しみなくお伝えしていきたいと思います。

こんな人に読んでほしい

  • 時代小説が書きたい、書いている
  • 書き方のコツ、タブーなど、プロ作家さんからお聞きしたい
  • プロ作家さんがやってきた小説の練習法について知りたい

また、今回取材に応じてくださった藤原舞響先生は、時代小説以外のジャンルにも精通した作家さんですので、時代小説以外の書き方にも共通したお話がたくさん出てきます。

この記事では、時代小説における文体や、ターゲットとなる読者層、プロットの作り方などなど、藤原舞響先生への取材で得た、プロの書き方がわかります。

自分の作品作りに取り入れれば、プロへ一歩近づけるであろう貴重なお話ですので、ぜひ最後までお付き合いくださいませ。

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藤原舞響先生に時代小説の書き方を直接取材

それでは早速ストーリー作りについて、基礎的なことから色々と聞いていきましょう

資料の集め方・取材について

どんなジャンルにしろ、絶対必須の作業が資料集めや取材ですね

書籍化された「長崎の竹蜻蛉は誰よりも天高く」の執筆での取材や資料集めをベースに、その方法や注意点なんかを聞いていきましょう。

実際に足を運んで取材、資料集め

「長崎の竹蜻蛉は誰よりも天高く」は明治維新より少し前のお話ということで、当時の写真機や写真の技術が登場しますよね。

資料はどのようにして探したのでしょう

 藤原舞響先生
藤原舞響先生

「写真」の歴史などを調べるため、東京にあるカメラ博物館に実際に足を運びました

その博物館には当時の写真機も展示されているし、解説などもあります。

やはり実物を見たほうが、リアリティのある描写が書けますから。

図書館にこもってとことん地固め

藤原舞響先生
藤原舞響先生

「長崎の竹蜻蛉~」の主人公の鍬次郎は東京出身ですが、三重県で生活していたので、三重県についても調べました

三重県が何藩なのかとか、当時の三重県について調べまくって地固めを行ったんです。

確かに舞響先生の小説に登場する情景は、当時の日本を実際に見てきたんじゃないかってくらい、リアリティがありますね

藤原舞響先生
藤原舞響先生

時代小説はおもしろいというだけでは受賞は難しく、地固めによって史実を曲げないことが大事ですから

そのためにも、とことん調べることが必要になってくるんです。

どのようにして調べたのでしょうか

藤原舞響先生
藤原舞響先生

図書館で本を読み漁りました

ときには一日中図書館にこもり、たくさん本を積み上げて読みまくって、メモをとったんです。

主人公の相棒の上野彦馬についても、彼の一生を記した本を読んだんですよ。

そしたら、彼は破天荒だったことがわかったんですよね。

もともとは上野彦馬が主人公の予定でした。

確かに、歴史上の人物として、彦馬は有名ですけど鍬次郎はあんまり知られていませんよね

藤原舞響先生
藤原舞響先生

そうですよね
上野彦馬に関する本を読んでいたとき、彼の親友として登場してきたのが鍬次郎だったんです

その本でも「二人は相反する水と油」という一文しか出なかったんですけど、そこから鍬次郎の性格を想像し、彦馬が破天荒なら鍬次郎は冷静で気を遣うタイプだろうといった感じでキャラが出来上がったんです。

資料を漁っているうちに、鍬次郎を主人公にした方が面白そうだということになりました。

資料を読むことで地固めをするだけじゃなく、作品をより面白くするアイデアも生まれてくるって、結構あるあるですよね

自分の得意分野をモチーフにした

写真となると、資料集めも大変だと思うのですが、なぜ時代小説の中でもさらにニッチな写真というモチーフを選んだのでしょうか

藤原舞響先生
藤原舞響先生

私は学生のころに写真部に所属していたんです

だから、写真の現像のために暗室に入るとか、そういったことが分かっていて得意分野だったんです。

なるほどです
自分の過去の経験、体験を作品のモチーフに選ぶのが一番とも言われていますよね

ただ、何度も言うように時代小説は地固めが重要でして、これがすごく大変で覚悟がいるのです。

その分、一番やりがいのあるジャンルだと思っています。

地固めをしっかりして史実を曲げない、とのことでしたが、最近では信長が女になったり、かなり自由なやつもありますけど、ああいったラノベはどうなんでしょう

藤原舞響先生
藤原舞響先生

そういったものは「時代小説エンタメラノベ」というジャンルになりますね

ラノベの場合は地固め4割くらい、といったところです。

時代小説における文体とは

藤原舞響先生
藤原舞響先生

「長崎の竹蜻蛉~」はラノベ寄りに文体を読みやすく崩しているんです

確かに「長崎の竹蜻蛉~」は堅苦しさも全然なくて読みやすかったですね
とはいえ、ラノベほど緩くもなく、しっかりした文章という印象でしたよ

地の文はある程度固く、しゃべり方はあえて崩しているといった感じですね。

だけど、本当の時代小説はもっと固い文体です。

なるほど、時代小説と聞くと堅苦しいイメージありますが、そのイメージ通りの固い文章というわけですね

私の作品では堅苦しさを緩和した文体にしましたが、崩すにしても当時のしゃべり方などもしっかり調べて、地の文、会話を書き、舞台がどこなのかをはっきりさせないといけないというのはあります。

聞く限り、時代小説というのはやはりお堅いジャンルのようですね

文体に関しては、以下の記事も参考になるぽよ

キャラ作りについて

主人公と相棒役「鍬次郎と彦馬」のキャラづくり

藤原舞響先生
藤原舞響先生

歴史上で起こった史実の中には、落としてはいけないものが絶対あるので、漏れなく調べつくし、山ほどメモを取りました

そのうえで、「彦馬のサポート役だから細かい性格をしているはずだ」「こいつはA型だな」みたいな感じで想像を膨らませていったんです。

調べた史実から性格を読み取っていったわけですね

ヒロイン「ベル」 のキャラづくり

藤原舞響先生
藤原舞響先生

ヒロインキャラは史実ではなく、実はオリジナルです

ただ、オリジナルのキャラだけど、このヒロインをどこに配置しようかと考えて、実際に存在した「オランダ異人館の軍医」の妹としました。

兄が可愛がる妹像を想像し、どんな感じがよいかを考えながら、キャラの設定項目を埋めていき、なじませていったんです。

キャラ設定項目というのはキャラ作りでよく聞く、名前や年齢、性別といった基本項目や、好きな食べ物とか信念、過去のトラウマといった項目を埋めていくやつですね

藤原舞響先生
藤原舞響先生

私の場合、主要キャラは必ず設定項目を埋めて、キャラを馴染ませています

「言われたら嫌な言葉」「好きな食べ物」「紙幣は持たないタイプ?」といった一問一答的なものもあり、全部で100項目ほど用意しています。

100項目はすごいですね

藤原舞響先生
藤原舞響先生

そうやって作っていくと、当初は考えもしなかったような、生きたキャラになっていきますよ

ヒロインのベルも、出会い始めはおしとやかだけど、仲良くなるにつれて鍬次郎の方言を真似してしゃべったり、鍬次郎に「あいらぶゆー」の言葉を教えたりするようなキャラになっていきました。

彦馬が「あいらぶゆー」は日本語で「こんにちは」だと嘘をついて、鍬次郎が長官に「あいらぶゆー」といってしまう、といったエピソードも生まれたんです。

キャラの設定を考えながら、おもしろいエピソードが生まれるってありますよね
だから、キャラ設定はおろそかにしちゃいけないのですね

藤原舞響先生
藤原舞響先生

そのとおりです
それに、ベルに関しては、私も言わせるつもりではない言葉を口にしたシーンがあったんです

そのときのセリフは読者のコメントでも「このヒロインらしい」と評判がよかったんですよ。

俗にいう「キャラが独り歩きした」状態というやつですね

キャラ設定をしっかり行ったからこそ、作者の手を離れて本当に生きているようなキャラになるわけです。

時代小説におけるプロットの作り方

では、時代小説におけるプロットの作り方について、聞いてみましょう

藤原舞響先生
藤原舞響先生

書くと決めたキャラ、テーマの史実について、時間軸をずらすことなく1から書き上げます

本作でも、鍬次郎が生まれてから死ぬまでの生涯を、史実を元にすり合わせながらプロットを作成しました。

特に、史実の中で彦馬と鍬次郎が絡んでいる軸がしっかり存在しており、その部分をストーリーとして起こしたんです。

私自身が掲げている小説のテーマとして人間愛があるので、二人の人生をしっかり書くということを意識しました。

具体的にはどのようにしてプロットを作っていますか?

藤原舞響先生
藤原舞響先生

wordを使って、最終的にはあらすじになるレベルの文章を思いつくままプロットとして書いています

人によってプロットの書き方はさまざまですけど、舞響先生はストーリーを書くタイプなのですね
ちなみに私は時系列で箇条書きにするタイプです

藤原舞響先生
藤原舞響先生

あと、ストーリーの組み立て方は、個人的に起承転結よりも三幕構成で考えるのがいいですね

起承転結だと、どうしてもストーリー全体を4等分で考えてしまいがちになるんです。

起承転結と三幕構成については、以下の記事が参考になるぽよ

今回の記事ではここまで!

次の記事は、藤原舞響先生に聞いてみた第二弾。

時代小説を実際に文章に書いていくときのコツや、タブーなんかをお伝えします。

藤原舞響先生のご紹介

長崎の竹蜻蛉は誰よりも天高く

文芸社より出版されている時代小説でして、明治維新より少し前の長崎を舞台に、日本で初めて写真館という商売を始めた上野彦馬の相棒、堀江鍬次郎の生涯を描いた作品です。

とにかく描写力とセリフが、実際に当時の長崎にまで行って見てきたんじゃないかってくらいにリアリティがあります。

通常の時代小説よりも読みやすい砕けた文章で書かれており、中学、高校生にも読みやすい作品ですので、時代小説に興味がありましたら、読んでみてください。

ちなみにこの本の表紙は、私こと我那覇アキラが描かせていただきました

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「新宇宙連邦ネメシス」

竜の話やUFO、神様について、創作している皆さんに正しい知識を持って創作に取り組んでいただけたら。

そういった目的で藤原舞響先生は「新宇宙連邦ネメシス(管理人:@総司令官)」 というサイトのサポートという形で活動を行っているそうです。

宇宙やUFOの知識が豊富な人、神様に関する知識が豊富な人が活動に参加しており、特に「SF」「神様ファンタジー」を書く人にとって価値のある情報を提供しているそうです。

SFちっくなお話や神話などをテーマに創作を行っている方など、興味ありましたら 「新宇宙連邦ネメシス」 の記事を読んでみてはいかがでしょうか。

まとめ

今回の解説内容

  • 資料の集め方・取材について
    実際に足を運んで取材、資料集め
    図書館にこもってとことん地固め
    自分の得意分野をモチーフにした
  • 時代小説における文体とは
  • キャラ作りについて
  • 時代小説におけるプロットの作り方

藤原舞響先生に時代小説について、書き方の基礎的なことを聞いてみました

当時のカメラに関しては、カメラ博物館へ実際に足を運んで実物を見たり説明を読んだりしているとのことでした。

また、ときには一日中図書館にこもって、題材となる彦馬や鍬次郎、舞台となる長崎だけでなく鍬次郎が住んでいた三重県のことまで、史実をとことん調べつくしたそうです。

これをやっているから舞響先生の描写はリアリティが凄いのですね。

実物が残っているなら実際に目で見てみる、調べられることは全部調べつくす。

時代小説は地固めが、とにかく大事とのことでした。

舞響先生が写真をモチーフに選んだのは、学生の頃に写真部だったからだそうです

自分の得意分野をモチーフにするのは、常套手段ということですね。

時代小説はお堅い文体ぽよ

舞響先生の「竹蜻蛉~」は、文体を軽くして中学、高校生にも読みやすくしているとのことです。

それでも当時のしゃべり方などをしっかり調べて、地の文、会話を書き、舞台がどこなのかをしっかりさせなきゃいけないそうです。

主人公と相棒「鍬次郎と彦馬」のキャラ作りでは、史実をしっかり調べながら、性格を読み取って想像を膨らませていたぽよね

ヒロインはオリジナルキャラとのことですが、実際に存在した「オランダ異人館の軍医」の妹という配置にしたそうです。

そして、キャラ設定項目を埋めて、キャラに馴染ませたのですね。

そうすることで、キャラが独り歩きしたそうです。

プロットについては、書くと決めたキャラ、テーマの史実について、時間軸をずらすことなく1から書き上げたとのことでした。

次回は時代小説を実際に文章に書いていくときのコツやタブーについて、藤原舞響先生にお聞きしたことをお伝えしたいと思います。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました

続きはこちらぽよ

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