今回は長編小説が書きたいのに書けないと悩んでいる人に向けて、長編を書く方法を解説します。
- 長編小説が書きたいけど書けない
- 長編小説の書き方が分からない
- 新人賞の応募規約の文字数をクリアし、新人賞に応募したい
長編が書けないと悩んでいる場合、理由は大きく以下の2パターンに分かれると思います。
- モチベーションが保てない
- 書き始めたはいいが、全然長編の文字数にならない
一つ目のモチベーションに関しては、書いてる途中で面白くないかもって思ったり、ストーリー展開に悩んだりして、書く気力が失せるタイプぽよね
そういったモチベーション的な問題については、解決方法を以下の記事で解説しています
この記事では、文章もある程度書き進められているのに文字数が長編に程遠く、完成させたとしても長編にできそうにない。
長編を書ききれる気がしない。
そんな方に向けて、長編を完成させる方法を解説していきます。
この記事を読むことで、長編を書くために何をすればよいのかがわかります。
また、長編を書くためのコツや考え方が分かり、長編小説を仕上げることができるようになりますので、ぜひ最後までお付き合いください。
長編小説ってどのくらいの長さ?
どのくらい書けば長編になるぽよ
だいたい文庫本1冊分あれば長編と呼ばれるでしょうね
新人賞の応募規約でよく見かけるものだと、以下のような感じですね。
- 10万文字以上
- 400字詰め原稿用紙換算200枚~500枚くらい
長編を書く作業量やペースは私の場合、以下のような感じです。
【我那覇のスペック】
- キーボードを打つスピード:IT業界勤務長いので、それなりに早い
- 小説に費やす時間:平日は2~4時間、休日は4~7時間
【完成までのスケジュール】
- 構想・プロット作成で半月くらい
- 文章を最後まで書ききるのに1か月半くらい
- 推敲で1か月弱
約3か月で長編1作品完成
早い人だと1か月くらいで長編を1作完成させちゃう人もいるので、あくまでも目安ですよ
長編ってそもそもどんな構成なのかを知ろう
文章はある程度進むのに長編が書けなくて悩んでる人は、プロットをきっちり作らないタイプがほとんどではないでしょうか。
おそらく、以下のような状態で書き始めているものと思われます。
- 始まりと結末だけ思いついている
- ワンシーンだけ浮かんでいる
- キャラクターと始まり方だけ決めている
まず、長編も短編もストーリー構成は「起承転結」や「三幕構成」で作るものですが、性質はまったく異なるってことを理解しましょう
構成は同じなのに、なんでそうなるぽよ
「起承転結」で言いますと、長編と短編では「承」の長さが全く違います。
「承」で起こる出来事の数が違う、と言い換えてもいいですね。
恋愛で例えてみましょうか
起 | 主人公とヒロインが出会う |
承 | ヒロインに何かしら悩みがある |
転 | ヒロインの悩みを解決してあげて、互いに惹かれ合う |
結 | 主人公とヒロインが結ばれる |
起 | 主人公とヒロインが出会う |
承 | ヒロインに何かしら悩みがある。 ヒロインの悩みを解決してあげて、互いに惹かれ合う 主人公に何かしら悩みがある ヒロインが励まし、主人公の悩みを解消 ヒロインと主人公の間に障害が発生する 障害を乗り越える 新たな障害が発生する 障害を乗り越える ヒロインの悩みが再発 ヒロインの悩みを解決 二人にとって大きな障害が発生する |
転 | 大きな障害を共に乗り越えて、互いに強く惹かれ合う |
結 | 主人公とヒロインが結ばれる |
「起承転結」のうち、「起」「転」「結」は出来事が1つずつなのに対し、「承」だけは数に違いがありますね。
ということは、長編を書きたいなら「承」で起こる出来事をたくさん用意する必要があるってわけです。
もう少し分かりやすく、ドラゴンボールで例えてみましょうか。
起 | 悟空とブルマが出会い、ドラゴンボール探しの旅へ |
承 | ドラゴンボールを手に入れるには問題を解決する必要がある |
転 | ドラゴンボールを手に入れ、シェンロンを呼び出す |
結 | 願い事を叶える |
例えばドラゴンボールが7つじゃなくて1つだった場合、さらに言うなら盗賊がその1つを持っていた場合、どうでしょう。
盗賊を倒せばドラゴンボールが手に入って終わりぽよね
そうでしょう
しかしドラゴンボールは7つあります
そして旅の途中で
- ブルマが恐竜にさらわれる
- 亀仙人に出会う
- ウーロンを懲らしめ
- ヤムチャと戦う
- 牛魔王と出会って山火事をなんとかする
- 兎・人参化を懲らしめる
- ピラフに捕まって絶体絶命
という感じで、「承」の中に沢山の難関があって、それらを解決していくことで長編として成り立っているわけですよね。
だから「承」が用意されていないと
- 始まりと結末だけ思いついている場合
⇒その結末に辿り着く問題を解決させた時点で結末にたどり着いちゃう - ワンシーンだけ浮かんでいる場合
⇒他の出来事は用意していないので、長編にならない
といったことになってしまうわけです。
長編を書くための3つの方法
長編は「承」の中に沢山の出来事が存在するものってことは理解できましたね。
では、それを踏まえて長編を書くコツを解説していきます。
長編を書く方法1 書き始める前に「承」の中のエピソードを約20個考えておく
おそらくプロットなしで、長編は書けずとも短編を書いてしまえる人は、物語の始まり方は書けちゃってるのですよね。
ならば、あとは「承」にどれだけエピソードをぶち込めるかってだけです。
物語が始まってから、その後にどんなことが起こるかを箇条書きでいいので書きだしてください。
書き出せる数が多ければ、当然それだけストーリーが長くなります
つまり長編にできるってことぽよね
どのくらいエピソードがあればいいぽよ?
あくまでも目安ですが「承」の中にエピソードが20~25個くらいあれば10万文字にとどくものと思われます
私の長編小説でもだいたいこのくらいの数で当てはまりました
- 【1つのエピソード】=何かが起きて一区切りまでに2~6000文字なので平均して4000文字
- 「承」だけで必要な文字数=「起」と「転」「結」を10万から差し引いてざっくり9万文字
- 9万文字÷4000文字=22.5個のエピソードが必要
どんな感じのエピソードを用意すればいいぽよ?
私の過去作品を例にしますね
中学1年の夢乃は、1年後の自分(ゆめりん)と水たまりを通して会話ができる。
ノブ姉(実の姉)が引きこもりになっていることにうんざりしていた夢乃は、ゆめりんから1年後のノブ姉がどうなっているのかを問う。
すると、1年後の世界ではノブ姉は死んでしまっていることを聞かされる。幼馴染のタカオから、ノブ姉に学校のプリントを渡すようお願いされる。
本来、タカオの姉の菜々美はノブ姉のクラスメイトなので、タカオ経由で夢乃にそんなことを頼んでくるのは不自然。
ノブ姉が引きこもったのは、菜々美含めたノブ姉のクラスメイトがノブ姉をいじめて仲間外れにしているからではないかと推測する。- ゆめりんと会話。
1年後のノブ姉はある坂道を滑走して、ガードレールを飛び越えて落下して死んだのだと、ゆめりんから聞かされる。
その命日が自分の世界での10日後だと知る。 - ノブ姉にプリントを渡す。そのとき、ノブ姉の苦しむ心境を垣間見る。
- 不思議な水たまりの存在を知った経緯とゆめりんとの出会いをつらつらと。
- 優しかった頃のノブ姉を思い出す。
そして夢乃はゆめりんの協力を得ながらノブ姉を助けるために戦うことを誓う。
……~以下、省略~……
もはやプロットぽよね
まあ、そういうことです
長編を書く方法2 書き始める前に「承」の中の引き込み展開を6つ用意する
プロットも細かく作りたくない、細かいエピソードを20個以上も並べるのは面倒ぽよ
そんな、わがままなあなたに試していただきたい方法がこれ
「転」で持ってくるクライマックス以外で、「承」の中でもこれは盛り上がるぞっていう熱い展開を約3つ、新事実発覚などの驚き展開を約3つ。
計6つ以上の引き込み展開を用意してください。
【驚きの新事実】
- 菜々美は謎の人物に脅されて操られていたことが発覚。
- いじめっ子のリーダーの蒼井は、1年後の世界では次のいじめのターゲットにされていた。
- 生徒だけが集まるコミュニティサイトで暗躍する、謎の三つのアカウントの存在が。。。
【盛り上がる展開】
- ノブ姉の運命の日が1年後の世界とずれた。
- タカるん登場。
- いじめっこのリーダーと思っていた蒼井が協力者に!
文庫本1冊分相当の面白い作品には、クライマックス以外でもだいたい6つくらい「おお!」ってなる展開が用意されているもんです。
そして計6つを実現するには、その展開にもっていくためのエピソードが必要になるので、短編で終わらすことはできなくなります。
つまり、どうあがいても長編になるってわけですよ。
図にすると、こんな感じです
ただ、このエピソードに向かってストーリーを進めなきゃと思い過ぎるが故に、ご都合主義になったりキャラの不自然な行動や言動が出てきてしまわないように注意しましょうね。
でも、展開を考えたら、そうせざるを得なくなることもありそうぽよ
もしそうなりそうなら、先に考えていた展開を別の展開に差し替えてOK
要は盛り上がり、驚き展開が最終的に6つくらい存在するようになっていればいいのです。
むしろ最初に決めた驚き展開がストーリー的に無理やりになりそうなら、方向転換して別の驚き展開を考えましょう。
書きながらプロットを微調整していくのは、当たり前に行われることですからね。
長編を書く方法3 短編のオムニバス形式にする
長編より短編を多く出しているプロ作家先生も多いですよね
どうしても長編が書けないけど短編なら書けるって人は、同じテーマを別々の主人公の立場で描いた短編だったり、同じ人物が様々な事件を解決する短編を集めた、一つのオムニバス作品にするっていう方法もあります。
1万~1万5千文字の短編を7~8つ集めれば10万文字は突破できますね。
オムニバスって、10万文字以上の新人賞に1つの長編として出しても問題ないのかぽよ
各新人賞の規定を確認したり問い合わせしてほしいところですが、まったく独立した話の寄せ集めじゃなければオムニバスでも問題ないっていう新人賞も多いです。
私のおすすめオムニバス小説をご紹介しますので、どういった感じで短編を一つの作品として集めているのか、参考までに読んでみるのもよいでしょう。
【GOTH】
ある高校生の男女が、さまざまな猟奇的事件に首を突っ込んだり突っ込まなかったりする、乙一先生の傑作ミステリー小説
【週末のフール】
3年後に地球滅亡が確定した世界を舞台にさまざまな人の視点での生き方を描いた、伊坂幸太郎先生の傑作ヒューマンドラマ小説
【イン・ザ・プール】
この精神科医はやぶなのか名医なのか。
クセの強い精神科医のもとを訪れてしまった患者のさまざまなおもしろ体験を描いた、ドラマ化もされている奥田英朗先生の傑作ミステリー?小説
小説の書き方シリーズ、Kindle出版中ぽよ
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まとめ
- 長編小説ってどのくらいの長さ?
- 長編とはいったい何なのかを知ろう
- 長編を書くための3つのコツ
長編を書く方法1 書き始める前に「承」の中のエピソードを約20個考えておく
長編を書く方法2 書き始める前に「承」の中の引き込み展開を6つ用意する
長編を書く方法3 短編のオムニバス形式にする
モチベーションとかの問題ではなく長編が書けない場合、ストーリーの一部だけを考えて書き始めているパターンが多いぽよ
例えば最初と結末だけ考えていた場合、一つのエピソードでも作品は完成できるので長編にするのは難しいです
長編は「起承転結」の「承」が長い作品ぽよ
「承」の部分で困難や問題、事件や出来事をたくさん用意できれば長編にすることができます
長編を書く方法の1つ目は、長編の文章量に到達できるだけのエピソードを先にたくさん考えておくことぽよ
1つのエピソードが4000文字くらいと考えた場合、だいたい20個ちょっとくらいのエピソードがあれば、10万文字に到達できます
プロットをしっかり作るのとほぼ同義ですね
方法の2つ目は、読者を引き付ける展開を6つ考えておくことぽよ
熱い展開3つ、驚きの展開3つの計6つくらいあれば、短編で書くには難しいストーリーになるでしょう
その引き付ける展開に持っていくために文章を書いていけば、自ずと長編になっている、という寸法です。
方法の3つ目は、同じテーマの短編を集めたオムニバスにすることぽよ
短編7つくらいあれば10万文字に到達できるのではないでしょうか
ちょっと長めの短編なら5つくらいでも10万文字に達すると思いますよ。
10万文字の作品を募集している新人賞でも、関連している連続ドラマならOKっていうところがほとんどのようです。
では、これらのコツを実践してみて、長編小説を完成させてみてください。
おつかれさまでした
書いているうちに面白くない気がしてきた、書いてるうちに飽きてくる、完成させられる気がしないといったモチベ関連でお悩みの場合は、以下の記事が参考になりますよ。
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