新人賞に投稿するとき、かならず『あらすじ』を求められますが、この『あらすじ』をどう書けばいいか、悩んでいませんか?
今回は新人賞に応募するとき、必ず必要になる『あらすじ』の書き方について解説します。
- ネット非公開型の新人賞で受賞を目指している
- 新人賞の一次審査に『あらすじ』で落とされたくない
- 新人賞に投稿する『あらすじ』、概略の書き方がわからない
この記事を読むことで、新人賞の審査で落とされない『あらすじ』の書き方が理解できるようになります。
その結果、あなたは
- 新人賞で1次選考を通過できるようになり
- 受賞の確率、そして作家デビューの確率をあげる
ことができるようになりますので、ぜひ最後までお付き合いくださいませ。
新人賞における『あらすじ』とは
ストーリーの流れを短い文章で書いたもの、それが『あらすじ』ぽよ!
新人賞の応募要項では、「概略(がいりゃく)」「概要(がいよう)」「梗概(こうがい)」と呼ばれることもありますね
「カクヨム」などのネット公開型の場合、『あらすじ』は読者を呼び込むために書かれます。
一方、ネット非公開の新人賞では、選考者のために書くものです。
選考者が応募された作品の内容を把握したり、読み返すことなく思い返したりするために利用するのですね。
『あらすじ』で面白くないと判断されると、本編を読んでもらえないこともあると聞きます。
これまで『あらすじ』を適当に書いてしまっていた方は、本編以上に『あらすじ』を大事にしましょう!
『あらすじ』を書くときのポイント
冒頭はインパクトのある引きを作る
『あらすじ』って、ストーリーの順番通りに出来事を並べて書くんじゃないのかぽよ
本編のストーリーだって冒頭が大事ですよね
だから読者を引きつける冒頭になっているかと思います
なっていない場合はどうするぽよ
いやー、それは『あらすじ』の前に本編の修正を検討したほうがいいかもしれませんよ
冒頭で引き付けられないストーリーは、その時点でちょっと問題ありかなと。
話がそれましたね、『あらすじ』の話にもどりましょう。
例えば、時系列に並べるだけの『あらすじ』だと、冒頭は
- 「あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいた。ある日、おばあさんが川へ洗濯をしにいくと、川上から大きな桃が~」
- 「心優しく美しい、シンデレラという名の女の子が父親と屋敷に住んでいた。母親は数年前に亡くなっており、父親の再婚相手と暮らすことになったのだが、再婚相手の義母は~」
といった感じですかね。
1は桃太郎、2はシンデレラぽよ
『あらすじ』にはなっていますが、もっと冒頭で引き付ける書き方を工夫しましょう
- 「巨大な桃の中にいたのは、元気な赤ん坊だった。」
- 「幸せだった女の子の人生は、父の再婚によって崩れ去った。」
いかがでしょう。
このように書いた方が、『あらすじ』だけでも面白そうな感じが伝わりますでしょ。
冒頭のつかみは、本屋に並んだ小説の裏表紙に書かれている『あらすじ』を参考にするとよいですよ。
どの小説の『あらすじ』も、1行目はインパクトや引きを意識した文章になっていることがわかるはずです。
新人賞の『あらすじ』はオチまで書くこと
文庫本やネット公開された小説についてくる『あらすじ』は、オチまで書いちゃうとネタバレになるので普通は最後まで書きませんよね
新人賞の『あらすじ』はオチまで書くのかぽよ
選考者にネタバレしちゃうんじゃないのかぽよ
新人賞の『あらすじ』、梗概はネタバレを気にせず、オチや結末までしっかり書いてください。
むしろ書かないとダメです。
『あらすじ』の文字数
どの新人賞かにもよりますが、『あらすじ』はだいたい800文字以内を求められることが多いです
1,000文字や1,600文字の新人賞もありますね
文字数は応募要項をよく読むぽよ
書いてみたら分かりますが、長編の新人賞の場合10万文字は超えるであろう文章量を、わずか1,000文字足らずでまとめるのは、とても難しいのです。
オチも含めて結末まで書くなら、短すぎる文字数ぽよね
『あらすじ』の書き進め方
我那覇の場合
私の『あらすじ』の書き方は結構シンプルでして、冒頭で引きの文章を書いた後は、本筋のストーリに関連するエピソードを時系列に書いていくのみです
制限文字数はある程度気にしながらも、まずは文字数をオーバーしてもいいので最後まで書ききります。
オーバーしてもいいのなら、文字数を気にする必要はないんじゃないかぽよ
いや、文字数を気にしながらでないと、どうしてもいろいろと詰め込みすぎちゃうんですよね
『あらすじ』は本筋がわかる必要最低限のエピソードだけを並べないと、ストーリーの魅力が伝わらない文章になっちゃいます。
最初からある程度文字数を気にしながら書くことで、なくても伝わるであろうエピソードは自然と省略するようになるんです。
それでもだいたいは文字数をオーバーするんですけどね。
とりあえず書ききったら、『あらすじ』を推敲して文字数内に収まるよう調整していくのです。
結末からさかのぼって書く(帰納法)
私はこの方法で『あらすじ』を書いたことはないのですが、『あらすじ』の書き方としてちょいちょい耳にする方法に「帰納法」というものがあります。
どういう方法ぽよ?
これはストーリーを逆から冒頭に向かって、因果関係をつなげていきながら書いていく方法ですね
「学園内で起きた密室殺人の謎を、頭のいい学生が解き明かす」というミステリーの『あらすじ』を例にしてみます。
- 「A君は警察に捕まり、学園に少しずつ日常が戻っていった」
これが結末。
なぜこんな結末になったのか、その因果関係を考えます。
なぜ「A君は警察に捕まった」のかというと、
- 「A君がB君を殺した犯人だった」
ですね。
こんな感じで
- 「A君がB君を殺した犯人だった」
⇒なぜ殺した? - 「B君が過去にA君の親友を死に追いやった、その復讐だった」
⇒どうやって罪を免れようとした? - 「B君が死んだ場所が密室だった」
⇒どうやって密室を作った? - 「B君を刺した後、逃げ出したB君が追い打ちを避けるために自ら部屋に逃げ込んでカギをかけたまま絶命した」
このように結末を最初に書いて、その結末がなぜ起きたのか、どうやって起きたのかをさかのぼって書いていくのです。
帰納法は因果関係をつなげて書いていくので、ストーリーの破綻を防ぐことができます。
ということは、すでに出来上がったストーリーの『あらすじ』を帰納法で書いていけば、ストーリーに破綻がないかをチェックすることもできるわけです。
ミステリーに向いてそうぽよ
我那覇の過去作品の『あらすじ』を例に解説
では、実際に私が過去に新人賞へ投稿した作品の『あらすじ』を例に、解説していきましょう
ちなみに、ジャンプ小説新人賞で一次審査を通過した作品の『あらすじ』です。
- 十三日後に姉が死ぬ。一年先の世界を生きるもう一人の自分から告げられた、衝撃の一言。
- 中学一年の夢乃(ゆめの)には、二つ年上の忍(しのぶ)という名の姉がいた。夢乃は一年後の自分と協力し、忍の命を救うと心に誓う。
- 忍は学校の近くにある急坂を自転車で走っている途中に転倒するも、再び自転車にまたがって坂道を滑走。ガードレールを乗り越えてがけ下へ転落し、命を落とすらしい。自殺と断定されたが、不自然な点があった。
- ブレーキが壊れていた自転車。忍を坂道へ誘導したという、忍の親友の存在。
- 二人の夢乃は互いの世界で各々調査し、忍をいじめている女子グループに行き当たる。さらに、忍を坂道へ誘導した忍の親友も、謎のメールによって脅されて操られていた、という事実を突き止める。
- 忍はいじめにあう中で親友に声をかけられたことに喜んだが、これが自分を転ばせて笑いものにするための罠だったのだと気付き、悔しさと絶望からやけになったのだ。
- 調査を進め、学校裏サイト内でいじめを誘導しているらしい謎の人物の存在を知るも、その正体までは特定できないまま運命の日を迎える。
- しかし〇〇が〇〇〇はずの〇には、〇〇〇なかった。〇〇が〇〇〇と〇〇した〇〇だったが、その〇〇〇に〇〇が起きてしまい、必死に〇〇へと〇ぐ。そして、〇〇〇で〇の〇を〇〇〇に〇〇する。
- 〇〇〇〇が変わったのは、〇〇が〇を〇〇〇〇いたためだった。
- 現在と未来の両方から得た情報をもとに、〇〇の〇〇を〇〇する。
- その〇〇は、〇〇〇の〇〇〇を〇〇ために〇〇〇〇〇いた、〇の〇〇の〇〇だった。
- 〇〇〇は見えないところで行われる。ならば〇〇〇〇〇を〇〇させて〇〇することで、逆に〇〇を〇〇〇。それが〇〇の歪んだ〇〇だった。その名目で〇〇いた〇〇によって、〇〇は〇〇される。
- 〇〇〇の〇〇も、〇〇〇ことが〇〇〇〇との〇〇に〇する。
なんか途中から〇が多すぎてよくわからないぽよ
え~、この作品はいずれ売り込もうとおもってるんで、オチにつながる部分を〇にしてたらこうなりました
まあでも、中盤あたりまで読めれば、『あらすじ』の書き方の雰囲気はつたわりますでしょう
まず[1]行目、「姉が死ぬ」という引きを狙った文章です。
さらに「一年先の世界を生きるもう一人の自分」というところでも、設定に関連する引きを作りました。
冒頭のインパクトぽよね
そして[2]行目からは、時系列に出来事を書き並べていきます。
[2]行目に関して「忍の命を救うと心に誓う」とありますね。
実は本編ではこの「心に誓う」までに、戸惑いや現実感のなさといった描写がありますが、本作はサスペンス。
一番のウリは謎を楽しむことなので、「あらすじ」からは大幅カットしています。
このように、自分の作品が何をウリにしているかを明確に決めて、あまり関係のない描写はバンバンカットしていきましょう。
全部書いてたら収まらないぽよね
[5]行目の「互いの世界で各々調査」も、一言で調査と書いてますが、様々なことが起こったり判明したりしています。
しかしこの辺もバランスよくカットです。
『あらすじ』は短いだけに、起承転結もはっきりしてくるはずです。
この『あらすじ』の起承転結がどこにあたるのかを色分けしますと、以下のようになります。
一つの目安として、参考までに。
赤 :[1]行目=プロローグ的なつかみ
青 :[2]行目=起
黒 :[3]~[10]行目=承
ピンク :[11]~[12]行目=転
オレンジ:[13]行目=結
- 十三日後に姉が死ぬ。一年先の世界を生きるもう一人の自分から告げられた、衝撃の一言。
- 中学一年の夢乃(ゆめの)には、二つ年上の忍(しのぶ)という名の姉がいた。夢乃は一年後の自分と協力し、忍の命を救うと心に誓う。
- 忍は学校の近くにある急坂を自転車で走っている途中に転倒するも、再び自転車にまたがって坂道を滑走。ガードレールを乗り越えてがけ下へ転落し、命を落とすらしい。自殺と断定されたが、不自然な点があった。
- ブレーキが壊れていた自転車。忍を坂道へ誘導したという、忍の親友の存在。
- 二人の夢乃は互いの世界で各々調査し、忍をいじめている女子グループに行き当たる。さらに、忍を坂道へ誘導した忍の親友も、謎のメールによって脅されて操られていた、という事実を突き止める。
- 忍はいじめにあう中で親友に声をかけられたことに喜んだが、これが自分を転ばせて笑いものにするための罠だったのだと気付き、悔しさと絶望からやけになったのだ。
- 調査を進め、学校裏サイト内でいじめを誘導しているらしい謎の人物の存在を知るも、その正体までは特定できないまま運命の日を迎える。
- しかし〇〇が〇〇〇はずの〇には、〇〇〇なかった。〇〇が〇〇〇と〇〇した〇〇だったが、その〇〇〇に〇〇が起きてしまい、必死に〇〇へと〇ぐ。そして、〇〇〇で〇の〇を〇〇〇に〇〇する。
- 〇〇〇〇が変わったのは、〇〇が〇を〇〇〇〇いたためだった。
- 現在と未来の両方から得た情報をもとに、〇〇の〇〇を〇〇する。
- その〇〇は、〇〇〇の〇〇〇を〇〇ために〇〇〇〇〇いた、〇の〇〇の〇〇だった。
- 〇〇〇は見えないところで行われる。ならば〇〇〇〇〇を〇〇させて〇〇することで、逆に〇〇を〇〇〇。それが〇〇の歪んだ〇〇だった。その名目で〇〇いた〇〇によって、〇〇は〇〇される。
- 〇〇〇の〇〇も、〇〇〇ことが〇〇〇〇との〇〇に〇する。
始まりと結末は短く1行で書いてるぽよね
転も2行分
一番長いのは承ですね
本編とほぼほぼ同じ割合になるでしょう
ちなみにこの『あらすじ』は770文字です。
応募規定が800文字ということは、ぎりぎり使い切ってるぽよね
小説の書き方シリーズ、Kindle出版中ぽよ
「Kindle Unlimited」なら読み放題ぽよ
「Kindle Unlimited」は月額¥980で200万冊以上が読み放題
30日間の無料体験もありますよ(2024年5月現在)
お求めは画像をクリック!
お求めはこちら⇒著者ページへ
グッズ販売も始めまちゃいました。
この本の表紙を飾る、かみころさんグッズです⇒ショップ
まとめ
- 新人賞における『あらすじ』とは
- 『あらすじ』を書くときのポイント
冒頭はインパクトのある引きを作る
新人賞の『あらすじ』はオチまで書くこと
『あらすじ』の文字数 - 『あらすじ』の書き進め方
結末からさかのぼって書く(帰納法)
我那覇の過去作品の『あらすじ』を例に解説
小説の新人賞に応募する場合、ほぼ必ず『あらすじ(梗概)』を書かなきゃいけないぽよ
投稿先にもよりますが、『あらすじ』は800文字くらいが多いかと
『あらすじ』の1行目はインパクトや引きを意識した文章にするぽよ
冒頭のつかみは、本屋に並んだ小説の裏表紙に書かれている『あらすじ』を参考にしましょう
新人賞の『あらすじ』はオチまで書くぽよ
ネタバレを気にせず、オチや結末までしっかり書きましょう
あらすじの書き方の1つのやり方に、帰納法があります
ストーリーを結末から、因果関係をつなげて書いていく方法ぽよ
この方法はストーリーの破綻を防ぐ役割があります
私は普通に時系列で書いていくんですけどね
では、これらのことを意識して、新人賞の『あらすじ』を書いてみてください。
おつかれさまでした
お求めはこちら⇒著者ページへ
お求めはこちら⇒著者ページへ
コメント