今回は文章力を上げるために良いとされている模写を、私が実際にやった結果どのような文章力向上に役立ったのかなど、実体験を踏まえて解説します。
- とりあえず問題ないレベルの文章力は欲しい
- 模写ってどのくらいやればいいの?
- 模写しても意味がないように感じたんだけど、実際どうなの?
模写が無意味だと思う人や、やった方がいいか悩んでいる方の参考になれば幸いです。
高い文章力、低い文章力とは
そもそも文章力が低いってどういうことを指すぽよ?
極端な例だと、読みづらい、意味が伝わらない文章ですね
- 言葉のレパートリーが少なく、同じような表現ばかり使っている
- 文章の前後のつながりがおかしい
- 文章の意味が読者に伝わらない
- 文章に無駄が多い
- 臨場感がなくて情景が浮かんでこない
ということは文章力が高いっていうのは、この特徴の逆を考えればいいぽよね
そうです
無駄がなく、様々な言葉を駆使して状況や情景、人物の心情をきれいに表現した文章
そういった文章で書かれた小説は
- 読みやすくて読者にストレスを感じさせない
- 景が自然と頭に浮かんでくる
- まるで見ているような臨場感を味わえる
ということになるわけですね。
文章力の悪い例と改善方法といった技術的な解説は、以下の記事で行っています。
文章力を上げるために模写をやる理由
文章力を上げるにはどうしたらいいかをネットで検索したら、ほぼ間違いなく
「文章を模写する」っていう結論にたどり着きます
模写をやれば文章力が身に付くのかぽよ
それなんですが、そうとも限らないみたいなんですよね
というのも、
「模写をしても意味がなかった」
という人がいるし、模写は意味がない、おすすめしないって公言しているブログ記事も少なくないです。
で、そういった方々の言葉を否定する根拠もないし、実際に模写をして意味がなかったと言ってるわけだから、それは事実だったのだろうなと
じゃあ、模写はやっぱり意味がないのかぽよ
個人的には、私は模写のおかげで文章力が身に付いたと思っています
なぜそう思うかっていうと、模写をしてしばらくたった後から、私の書いた文章が周りに評価され始めたからですね
正直なところ、文章力が上がったのか自分自身じゃ判断つかなかったんですけどね
周りが言うなら、間違いなさそうぽよね
というわけで、今回の記事では模写で文章力があがるとは明言しませんが
- 我那覇はどのように模写をしたのか
- 模写をした前と後でどのように変わったのか
を語ることにします。
実際に我那覇がやっていた模写
最初は模写はせず、文体を真似て作品を執筆する、ということをやってみました
最初に真似したのは伊坂幸太郎先生の文体。
終末のフール (集英社文庫)
すごく有名な作家ぽよね
伊坂幸太郎先生の文章は、私が思う文章よりも読点(、)が多かったんですよね。
個人的には読点の多さに違和感を覚えたんですけど、とりあえず真似して書いた小説の冒頭を友達に読んでもらいました。
読みづら! 点多すぎやろ
という感想。
そのとき書いた実際の文章を一部抜粋。
朝からこの暑さだと、先が思いやられる。
近い未来の灼熱地獄を想像しつつ、いつもの通学路をとにかく歩く。
「おはよう」
信号のある少し広めの交差点に差し掛かった時、黄色い旗を持ったおじさんが僕に向かってにこやかに挨拶をしてきた。
この交差点は、毎朝違う大人が旗を持って立っていて、僕のお父さんが立っている日もあった。今日はこの恰幅の良いおじさんが当番というわけだ。
まあ、伊坂幸太郎先生の文体かと言われると、それは置いといて。
その友達は伊坂幸太郎先生の小説が大好きなやつだったから、
いや、伊坂幸太郎の小説も点多いよ、ほら
って言って見せたら
確かに、ほんとだな……。今まで意識してなかったわ。でもお前のは読みづらい
とか言われたんですよね。
そこで反省なんですけど、
伊坂幸太郎先生の作品自体は全然読みづらくないのに、真似しようとしたらなんか違和感を覚えた。
これってつまり、自分のリズムと合ってない、自分には向かない文体だったんだってことです。
プロの文章なのに、そんなことあるのかぽよ
文章のリズムは人それぞれ。
自分にとって心地よいリズム、そうでないリズムがあるのですね
で、上手い文章とはいえ自分が違和感を覚えるってことは、合わない文体だってことです。
読む分には問題なくても、真似すると怪我をするっていう一例ですね。
村上春樹と西尾維新の文章は真似しないほうがいい、というのを聞いたことがあります。
このお二人の先生はリズムや文体が独特なことでも知られていますね
真似したら怪我しやすいってことかぽよ
そういうことです
だから、文章が上手いからといってすぐに模写したり真似したりしようとせず、じっくり読んでみたときに心地よい、好きだって思える文章かをまずは考えてみましょう。
そして、これがいいって思った作家先生の作品を模写することをおすすめします。
そんなわけで私は、伊坂幸太郎先生の作品は模写することもせず、他の作家先生の作品を模写することにしました。
誰を選んだぽよ
憧れの作家、乙一先生の作品です!
どのくらい模写をやったのか
どのくらい模写をやってたのかぽよ?
ずっと模写だけはつらすぎるので、1日10ページと決めて、しばらく毎日やってました
期間は忘れましたが、模写したのは以下の3冊です。
夏と花火と私の死体 (集英社文庫)
天帝妖狐 (集英社文庫)
平面いぬ。 (集英社文庫)
この3冊を模写した後は、模写のペースを落としました。
現在は小説を書く前にだけ、ウォーミングアップとして乙一先生の作品を2ページ模写してから、執筆にとりかかっています。
どのようなことを考えながら模写したのか
まず、「模写をしましょう」と書かれていた本によると、模写をすることで
- 句読点がどのタイミングで打たれているのか
- 1行の長さはどの程度か
- どんなタイミングで改行するのか
- 漢字はどの程度使っているのか、どのような漢字をひらいているのか
- 地の文とセリフの比率はどんな感じか
- この表現上手いなあ
みたいな、その作家先生の文体やリズムに関する気づきを得られるとのこと。
なので模写をしながら、そういったことを意識的に考えてました。
そして、模写するときは改行も句点も文字もすべて一字一句違わず、完璧に模写しなさいとのことだったんですが、やってみて理由が分かりました
なんでぽよ?
まったく同じに模写すると、
自分だったらこの漢字は変換していたな
ここは改行しないんだ
こんなところで句点を打つのか
みたいなことが、嫌でも頭に入ってくるんですよね。
うっかり変換したあとに打ち直したりするから、印象にも残りやすいんですよ
模写をしていた時期は、まず10ページの模写をした後、その模写した文章の文体などを思い出しながら自分の小説を書いていました。
これは自分としてはかなりよかったですね。
模写の後すぐに自分の作品で試すことで、自然と文章力が身についていった感覚がありました。
実際に模写をやった効果
小説を書き始めた1年目のころ、小説を書くことに慣れるために輪読会というものを開いてました
輪読会ってなにぽよ?
小説好きそうな会社の同僚を誘い、それぞれ2,000文字以内の小説を書いて、飲み会で読み合って批評しあうっていうやつです
単なる社会人の宴会かぽよ
まあ、飲む口実にもなりましたね
ちなみにこんなメンバー
- 小説読むの大好きな陽キャ
- 小説そこそこ好きなおじさま
- 小説そこそこ読むアラサーOL
- 小説受賞経験もある元プロライター
- 我那覇アキラ
さて、第一回の輪読会では「たばこ」というテーマで各自作品を持ちよったのです
どうだったのかぽよ
え~、元プロライターはさておき、小説はすでに書き始めていたころだったので、たぶんこの中では私が2番目に執筆歴が長かったんですけどね
セリフ多すぎ~
我那覇さんが一番下手ちゃう?
まあまあまあ、ボクは嫌いじゃないよ、うん
という結果に。。。
これはふがいないぽよね
そんなわけで、悔しさをバネに文章力を上げる方法を調べていたとき、模写をするという練習方法を知りました。
それから模写を始めまして、第2回目の輪読会を開催したわけです。
結果として、
うお、すげえ
感心したよ、キミ
いいですね、この作品
という評価をお友達からいただきました。
このときの作品はストリエという小説投稿サイトでも公開してみたんですよね。
すると!
「スタッフがおすすめする新着ストーリー」というコーナーでも取り上げていただきました
飛躍的な進歩ぽよね
これが模写の成果なのかぽよ
正直、そうですって断言できないけど、そうだと思ってます
少なくとも、ドベの状態から2カ月で結果は出ましたので
このときの輪読会で書いたドベ作品と、模写をして2か月後に書いた作品は以下の記事に掲載しておきましたので、興味があれば読んでみてください。
他にも私が実感できた成果は
- 長編5作目、2年半で受賞経験
- 教科書に載るレベルの大御所先生からも、文章を褒められる
- とりあえず1次審査通過はその後も連続で果たせている
模写のおかげで文章力がついた、というには十分な結果だと思います。
ちなみに、元プロライターで小説の受賞経験のある友人も、模写はかなりやったそうです。
また、他人の作品を自分の文章で書きなおす、という文章訓練も行っていたとのこと。
模写は意味がない、おすすめしないという方もいます。
あえて否定はしません。
ただ、多くの作家さんがやってきた訓練でもあり、私は模写による成果を実感できました。
文章力は一定レベルあればよいらしい
ジャンルにもよりますけど、文章は一定レベルまで鍛える程度で充分だと私は考えています
なんかベテラン作家先生に怒られそうぽよ
これはカクヨムを読んでるからそう思うのかもですけど、大賞作品でも文章力が各段に高いってわけじゃないからです
むしろカクヨムの大賞作品は、
- 基本的な文章ルールが守られていない
- 視点の切り替わりが雑で、読みづらくさえある
といった感じで、決して褒められる文章力じゃないんですよね。
とはいえ最低限、意味も通じるし情景も浮かびます。
だから、ジャンルにもよるけど一定レベルで充分って思うんですよね。
まあ、純文学などの文芸で文章力が乏しいのは大問題ですけど、目指すジャンルによっては、文章力はさほど重要じゃないようです。
だからこそ、模写で一定の文章力をさっさと身に付けちゃったほうがいいと私は思うのです
そうすれば、もう文章力で悩むことはなくなり、ストーリーや構成の悩みに集中できますので
要するに免許を持つようなものぽよね
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まとめ
- 高い文章力、低い文章力とは
- 文章力を上げるために模写をやる理由
- 実際に我那覇がやっていた模写
どのくらい模写をやったのか
どのようなことを考えながら模写したのか - 実際に模写をやった効果
- 文章力は一定レベルあればよいらしい
模写は色んな人がすすめる定番の練習方法です
でも、無意味っていう人もいるぽよね
なので今回は、一般的に意味があるかどうかはさておき、私としては意味があったことを実体験で解説しました
模写するなら文章が上手いかどうかより、自分が好きだと思えるプロ作家先生の作品を選んだ方がよいと感じました。
模写は1日に10ページ。
模写した後は自分の作品を書きながら、模写中に気づいた文体のクセやテクニックを試していました。
模写をしたのは乙一先生の小説3冊。
その後は執筆前にウォーミングアップで2ページ模写している程度です。
結果として、周りからも文章力の向上を認めてもらえました。
2年半で受賞経験。
大物作家先生にも文章を褒めていただけています。
模写は無意味だって名言している方がいたり、模写をしても効果がなかったという方がいます。
私にはそれを否定するだけの根拠は持ち合わせていません。
ただ、私は模写をおススメしますし、模写のおかげで文章力が向上できたと思っています。
文章力を上げたい、模写を検討している方の参考になれば、そしてどんなやり方だろうと、納得のいく文章力を身に着けていただけたら幸いです。
おつかれさまでした
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