今回は小説、ライトノベルの書き方に関する記事ではありますが、カクヨムのWEBコンテスト大賞受賞作を分析して考察した結果、見えてきた技術についてお伝えしていきます。
- 異世界ファンタジーでカクヨムWEBコンテスト受賞を目指したい
- カクヨムWEBコンテスト過去大賞作品の隠された技術を知りたい
- 受賞作の分析が面倒だから、代わりにやってくれたまえ我那覇くん
一人称、三人称とは
まず、考察内容の前に、今回お伝えするテーマ「一人称と三人称ごちゃまぜ技法」を理解するためにも、一人称と三人称についてサラッと説明しますね
一人称は常に主人公の視点で書かれた文章ぽよね
【特徴】
- 常に主人公の内面が書かれている
- 主人公以外の人物の内面は書けない
- 主人公が見えていない、気づいていないことは書けない
【メリット】
- 感情移入しやすい
【デメリット】
- 主人公が周りにどう思われているのかをストレートに表現できない
- 主人公がいない別の場面が書けない
三人称は複数の人物に視点が切り替わる文章です
【特徴】
- さまざまな人物の視点に切り替わる
- さまざまな場所の出来事が書ける
【メリット】
- 様々な人物の内面が描ける
- 様々な場面の状況が描ける
【デメリット】
- 一人称に比べて感情移入が薄れる
ラノベは「文章ルール<<読者の願望」
一人称で文章が書かれた小説の場合、普通は主人公以外の視点に切り替わることはありません
だけど、ラノベだと一人称の「俺」「僕」の呼称なのに、主人公以外の視点に切り替わる作品も見かけるぽよね
はい、それが今回の記事のテーマですよ
私は大賞作品の受賞の秘密を知るために、カクヨムで年に一回開催されているWEBコンテストの過去大賞作品を読みました。
ラノベ、ジャンルは「異世界ファンタジー」です。
その作品
文章そのものは決して悪くはないのですが、一人称なのに視点が切り替わるという小説のタブー的なことをやっていたのですね。
しかも、主人公の視点での呼称が「僕」、別の人物の視点でも「僕」だったり「私」だったりで、視点の切り替わりが分かりづらいのです。
大賞作でさえ、文章ルールを無視しているうえに分かりづらいってどういうこと?
と最初は思いました。
このように、ラノベでは文章ルールをある程度破っても問題にはならないようです。
むしろ、読者を楽しませるためなら、ルールに縛られない書き方を許容していると言えるでしょう。
大賞とってる作品がそうなら、間違いないぽよね
勘違いしてほしくないので、先に注意喚起です。
「文章ルール<<読者の願望」とは言っても、文章力がいらないと言ってるわけではありません。
文章のノリが軽かったり視点切り替えに難があったりすることもありますが、やはり受賞を果たす作品の文章は読みやすいです。
カクヨムWEBコン 過去大賞作品から学ぶテクニック
ラノベが満たしてくれる願望とは
今回読んだ大賞作品、ざっくり内容は以下のとおり
- 魔法が存在する異世界ファンタジー
- 地位は低いが才能豊かな主人公が活躍
- ハーレム状態
ラノベのお約束、妄想爆裂ぽよね
本当にそのとおりでして、読者の妄想を叶えるための様々なテクニックが使われていると感じました
その大賞作品が読者のどういった願望を満たしてくれているのか、それは以下のとおりです。
- メインヒロインと相思相愛
- メインヒロイン以外の女の子からも、とにかくモテまくる
- 周りの人間からも「すごいやつだ」と思われ、尊敬されている
- 剣や魔法だけでなく、頭脳も仕事ぶりも、すべてにおいてパーフェクト
- にも関わらず、自分自身(主人公)はとにかく謙虚で精神的に大人
- オラついたやつを軽くあしらって、ざまぁ展開
細かいことを上げだしたらきりがないので、かなりざっくり例をあげてます
おなか一杯すぎて胃もたれするぽよ
ライトノベルは読者の欲求を満たしてくれることこそが醍醐味ですからね。
特に異世界ファンタジーや転移、転生系は、その色が強いようです。
一人称と三人称を混ぜた書き方の最大の利点
一人称は主人公目線、三人称は複数人物の視点ぽよね
妄想爆裂と人称に関係があるとは思えないぽよ
単にいろんな場面をアニメのように書きたいだけじゃないのかぽよ
もちろん、それもあるでしょう
ですが、この今回分析した大賞作品は、もっと別の意図で視点切り替えを行っていました
まず、一人称の最大のメリットは、主人公に感情移入しやすいということ。
なので、読者が主人公の立場で欲求を満たすには、一人称が最適です。
しかし一人称には
- 周りの人物からどう思われているかをストレートに書けない
というデメリットが存在します。
例えば、周りから尊敬されて女の子からモテまくりの、最強の主人公がいたとします。
「俺は周りからも尊敬され、敬われている」
「俺はモテモテだ。ふ、今日も女の子たちの視線が熱すぎて、溶けてしまいそうだぜ」
「魔法も剣術も最強の俺に絡んでくるなんて……。仕方ない、軽くあしらってやるか」
まあキャラとしてはアリですが、こんな主人公に憧れます?
なんか痛いやつぽよね
さて、ここで先ほどあげた、大賞作品が満たしている欲求の数々を振り返ってみてください。
「相思相愛」「モテまくる」「周りの人間からの称賛」「すべてにおいてパーフェクト」
これって「周りの人物がどう思っているか」ですよね。
つまり周りの評価、承認欲求というやつです。
こいつを満たすには一人称だけでは不十分なのです!
もちろん、照れたりほっぺたを赤らめたりする女の子の反応を主人公主観で感じ取ったり、主人公にかけられる称賛の声を第三者から直接聞いたりすることは可能です。
いやしかし、やっぱり裏で褒められる存在になりたいと思うのが人情!
裏で褒められているところなんて、なかなか見れないぽよね
自分の知らないところで、美少女が夜な夜な
「我那覇さまにかわいいって言われちゃった……。
そんなわけないのに……でも、本当に思って言ってくれたのかも……
やだ私ったら、我那覇さまにはヒロインという素敵な方がいるのに。
ヒロインに比べたら私なんて全然……。
うう、こんな気持ちにさせるなんて、我那覇さまはひどい人です。
ああ、我那覇さまのことばかり考えて眠れない!
はう~あう~」
と言いながら顔を赤くしている様子も、一人称では見ることができません!
ええ……ぽよ
てかお主、めっちゃ早口になってたぽよ……
そこで例の大賞作品が使っていたのが、視点切り替えの三人称です。
普段は一人称で話が進みます。
周りの女の子たちからの反応を感じ、様々な実力者たちからも「ははは、謙遜しやがって」と褒め称えられながらも、とにかく謙虚を貫きます。
そして幕間などのタイミングで別の人物の視点に切り替えて、主人公のいない場面でも主人公を褒めまくったり、主人公に片思いな女の子の悶える様子を描いたりしていたのです。
こうすることによって、読者は主人公に感情移入しながら、さらに最高の承認欲求を満たせるのです。
一人称と三人称ごちゃ混ぜの要注意事項
小説は一人称で書き始めたなら、終わりまで一人称で書くのが普通です。
三人称もしかり。
なので前述のとおり、一人称と三人称を混ぜるのは小説としてはかなり特殊な書き方です。
いくらラノベがある程度ルールを曲げても許されているとはいえ、一人称と三人称をなんの意図も計算もなくやってはいけませんよ。
例の大賞作品でさえ、視点の切り替わりが分かりづらいんです。
それでも大賞が取れたのは、読者の欲求を満たすために、かなりの計算された視点切り替えが行われていたからでしょう。
分かりづらいと思っているのは、お主の読解力の問題じゃないのかぽよ
いえ、友達の元プロライターにもこの作品を読んでもらい、同じ感想だったことは確認済みです
一人称は書きやすいし、三人称は別の場面に移動出来て便利だし、いっそ二つを掛け合わせちゃえ、なんてノリでやっちゃうには、ちょいと難易度高すぎです。
その割には、ラノベではかなりポピュラーな書き方であることも事実ですね。
だから、しっかり一人称と三人称それぞれの特徴やメリット、デメリット、視点切り替えの際の注意点を学んで、書き方を身につけましょう。
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まとめ
- ラノベは「文章ルール<<読者の願望」
- カクヨムWEBコン 過去大賞作品から学ぶテクニック
ラノベが満たしてくれる欲求とは
一人称と三人称を混ぜた書き方の最大の利点 - 一人称と三人称ごちゃ混ぜの要注意事項
ラノベは一人称と三人称が混ざっている作品が、普通に存在するぽよ
この書き方は映画やアニメのような場面切り替えが可能なので便利ですし、ラノベの読者層にとってもなじみやすいかもしれません
ラノベは読者の願望を叶えるのが醍醐味ぽよ
一人称と三人称のごちゃ混ぜは、願望を叶えることに関してはとても理にかなっています
一人称は感情移入しやすいので、誰もがうらやむ主人公の気持ちになれますね。
しかし一人称は他人からの評価をストレートに表現することができません。
そこで三人称ぽよね
視点を別の人物に切り替えて主人公をほめちぎることで、読者の承認欲求を最大限に満たせます
でも、一人称と三人称のごちゃ混ぜは、何度は高い書き方ぽよ
ラノベだからといって、文章力がいらないというわけではありません
一人称と三人称の特徴をしっかり学んで、そのうでそれぞれを自在に使いこなせるようにしましょう。
おつかれさまでした
今回読ませていただき、分析させていただいた作品はこちら。
※ネタバレには細心の注意をはらっていますが、念のため作品名は記事内には一切書かないでおきました。
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