この記事では、人気の出やすい異世界系ラノベの長編が書きたい場合に使えるストーリー構成のテンプレートをお届けします。
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ちなみに異世界系ストーリーテンプレートとは、同一のテーマを持った異世界転生、転移系の人気作品を紐解いて共通点などを洗い出し、起承転結の型にはまるよう整えたものです。
異世界系ストーリー作りの助けになれば幸いです。
異世界系ストーリー・3種類の構成
おさらい。
チート能力で活躍する異世界系の作品の多くは、大きく以下の3種類のテンプレで作られています。
- 「第一章」チート能力で事件を解決し、今後の活躍の方向性を示すテンプレ
- 「第二章以降のエピソード」チート能力で事件を解決する小粒エピソードテンプレ
- 「壮大スケール」国同士や種族間の争いの中でチート能力を駆使し、活躍するテンプレ
今回は異世界系の最後のテンプレート『壮大スケール』パターンのをお届けぽよ
ちなみにテンプレ通りに必ず作ろうってことではなく、ストーリー作りの手助けになるツールと思っていただけたら幸いです。
「壮大スケール」テンプレの主なストーリー展開
今回紹介する「壮大スケール」パターンのストーリーの流れは、以下のような感じです
- 巨大組織同士の争い、国家レベルの抗争に巻き込まれる
- 主人公、大立ち回り
- 最後は主人公が決め手となり、争いに終止符を打つ
- 主人公の評価がうなぎ上り。英雄の地位を手に入れる
結局、事件が起こって解決して称賛される流れは、他のテンプレと同じぽよね
そのとおりですね
特に異世界系は間になにが起ころうと、気持ちよく解決して英雄扱いを受ける終わり方は変わりません。
ただ、「壮大スケール」パターンは長編用のテンプレなので、「第一章」や「第二章以降のエピソード」テンプレに比べて、当然ストーリー構成は複雑になります。
ちなみに、長編ってどのくらいの長さを指すぽよ?
あくまで目安ですが、おもに1つの事件を6~10万文字か、それ以上で完結させるくらいの長さを考えてもらえればよいでしょうか。
10万文字といったら、新人賞とかWEBのコンテストで長編を応募するときの長さぽよね
「壮大スケール」テンプレ
では、異世界系作品で活用されている「壮大スケール」テンプレをお届けします
# | 工程 | ストーリー展開 | チェック内容 |
---|---|---|---|
1 | 起 | 国家レベル、巨大な力を持った組織間の抗争勃発 | 主人公しか手に負えない強敵が存在するか |
2 | 主人公が戦いに参戦する | - | |
3 | 承 | 抗争の解決に向けて主人公が動く | 仲間の能力を上手く使った作戦、情報収集といった問題解決の準備が行われるか |
4 | 主人公の知能の高さがうかがえる作戦や行動が存在するか | ||
5 | 抗争を盛り上げる敵の動きがある | 敵側に策略や不穏な動きをほのめかすシーンがあるか | |
6 | 敵がどれだけ強い力を持っているかがわかるエピソードを交えること | ||
7 | 主人公と敵が相まみえる | 問題解決に向けて動く主人公に、周りからの賞賛が高まるシーンがあるか | |
8 | ヒロインが活躍し、主人公との仲が深まるシーンが存在するか(任意) | ||
9 | 転 | 戦いの決着がつく | チート能力や現代の知識を上手く使った問題解決方法になっているか |
10 | 問題解決が主人公の力によるものになっているか | ||
11 | 結 | 国王などの権力者からの賞賛、信頼を得る | 権力者からの賞賛、信頼を得る描写が存在するか |
12 | 周りからの賞賛を得る仕掛けがきっちり作られているか | ||
13 | 後のストーリーに続く伏線があるか(任意) |
この「壮大スケール」パターンは組織同士の戦いの中で主人公が活躍するストーリーが主流ですね
なので組織同士の関連図が必要になってきますが、その組織構成は以下の記事に紹介しているテンプレートを利用すると良いです。
組織構成テンプレートで組織関連図を作ることで、「壮大スケール」テンプレートでのストーリー作りも、よりスムーズになりますよ。
テンプレートの使い方
- 「ストーリー展開」の記載内容に沿った展開を考える。
- 考えた展開が「チェック内容」に書かれたことを守れているか、チェックする。
- 守れていなければ、チェック項目をクリアできる展開を再検討する。
クリアできなくても問題ない理由があれば、それはそれでOK(代替え案を用意するなど)。
「壮大スケール」テンプレ使用例が分かりやすい作品
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「壮大スケール」テンプレの各項目について徹底解説
では、それぞれのテンプレ項目とチェック項目について細かく見ていきましょう
起:国家レベル、巨大な力を持った組織間の抗争勃発
壮大なスケールといえば、国家レベルの戦争や巨大な組織の陰謀ですね
敵が攻めてくるぽよ~
その理由は、分かりやすいものだと国の領土を広げたい敵国の野望や私欲による侵略ですね
他にも
- 国そのものを滅ぼしたいほどの恨みがある
- 貧しい民を救うため、豊かな国を侵略
- 世界を統治して俺がすべての人間を正しい方向へと導いてやる、というおごり
- 人間は星に巣くう寄生虫! 駆除してくれるわ!
などなど、敵組織が攻めてくる理由は様々です。
ちなみに物語としての抗争の始まり方には、2つのパターンが存在します。
- 激しく勃発する
- 静かに勃発する
1の場合は、もう分かりやすく大群が攻めてくるパターンですね。
静かなパターンはどんなやつぽよ?
例えば、気づかない間に敵の工作員が自国の内部に潜伏しているような場合です
そして
「要人が1人ずつ暗殺されていく」「不吉な出来事が立て続けに発生」
みたいな感じで、実態がつかめない不気味な事件が顔をのぞかせ、それが大きな陰謀の序章に過ぎない、といった感じでストーリーが進みます。
「何か大変なことが起こる気がする……。いや、すでに起きているのかもしれん」と、髭を蓄えたおじさまがつぶやくぽよね
チェック1:主人公しか手に負えない強敵が存在するか
壮大な抗争におけるラスボス的存在がいるかってことです
主人公にしかってことは、チートじゃないと無理なレベルの敵ぽよね
これは敵の親玉が必ずしもラスボスでなくてもよくて、とにかく主人公のチートに頼らざるを得ない強さを持っている人物が敵陣にいればよいです。
どういうことぽよ?
親玉って権力はあっても、戦いはできないタイプもいるでしょ
そういう親玉の場合は、親玉を守護している最強の戦士とかを最後の戦いの相手として用意しましょう
最後に格好よく一騎打ちする相手が必要ってことぽよね
起:主人公が戦いに参戦する
争いが勃発し、戦いに主人公が関わってからが本当のスタートですね
- 国を救うため、主人公が自ら戦いに赴く
- チートで名を上げた主人公に国の誰かが助けを求める
- 国の要人が敵に襲われているところを、偶然居合わせた主人公が助ける
承:抗争の解決に向けて主人公が動く
抗争の解決に向けて、主人公が動くぽよ
直接的な動きだけでなく、戦術を提案したり敵の動きを読んで注意を促すなど、頭脳的な見せ場も作っていきましょう
チェック1:仲間の能力を上手く使った作戦、情報収集といった問題解決の準備が行われること
せっかくの壮大ストーリーなので、仲間の能力も上手く活用したいところですね
全部主人公がチートで終わらせたら、何のための仲間かわからないぽよね
それに、情報収集などを仲間に任せる場面では、的確な指示や敵の動きを読んで仲間を配置するなど、主人公のリーダーとしての有能さやカリスマ性が発揮できたりしますね
チェック2:主人公の知能の高さがうかがえる作戦や行動が存在すること
敵の行動を読み解き、裏をかいた作戦を立てましょう
それがチート能力によって得た情報や現在知識があって初めて成立するアイデアだったりすると、異世界チート系の醍醐味を読者に味わってもらえますね。
承:抗争を盛り上げる敵の動きがある
敵側の不穏な動きや強敵感を示すシーンなどがあると、壮大さも増すし、ストーリーも盛り上がります
異世界系って、意外と敵のやることがえぐかったりグロかったりするものも多いぽよね
そういったシーンも、ストーリーを盛り上げる要素なわけですね
チェック1:敵側に策略や不穏な動きをほのめかすシーンがあるか
例えば
- 味方陣地内に敵の密偵がいるらしいことがわかる出来事がある
- 味方側の誰かと謎の人物(後に敵の密偵とわかる)が密会しているシーンがある
- すんなり敵が退散していったのが、逆に不気味(実は敵側が罠を仕掛けている)
などなど、先の展開で味方側や主人公がピンチになるかもしれない、とハラハラさせるシーンが含まれているかをチェックしましょう
長編でこれがないと、ただ戦いが続くだけの作品になってしまい、中だるみしてしまいます。
これは先を期待させる伏線、というわけです。
伏線といえば、この記事が参考になるぽよね
チェック2:敵がどれだけ強い力を持っているかがわかるエピソードを交えること
敵が弱いと、緊張感が出ませんね
たとえ主人公のチートなら倒せるであろうことがわかっていても、主人公がいなかったら絶望だっていう描写をするとよいです。
これは異世界系に限らず、バトル系の鉄則ですね
主人公にしかムリって思わせるぽよね
どうすればいいぽよ?
- 味方陣営の騎士団がたった一人の敵に全滅
- 味方陣営の最強の騎士が敵に倒されてしまう
- とんでもない威力だということが一目でわかるレベルの破壊魔法などを、敵が放つ
承:主人公と敵が相まみえる
ついに主人公が圧倒的チートをひけらかすぽよね
主人公だけじゃなく、総力戦的な熱い展開もあるとよいですね
チェック1:問題解決に向けて動く主人公に、周りからの賞賛が高まるシーンがあるか
他のテンプレでも必ずあったチェック項目ぽよね
周りの称賛は異世界チートの醍醐味です
なお、周りというのは、敵も含みます。
- さすが主人公だ、と味方の兵士や騎士団長などが賞賛する
- 主人公が来てくれた、もう大丈夫だ! と町の人たちに希望が湧きだす
- ともに冒険をしてきた仲間やヒロインが、やっぱりとんでもない人だと称賛する
- ばかな、たった一人に我ら無敵の軍隊が……。など、敵側が主人公の強さに驚愕する
- 何者だ、と敵側の強者が警戒し、要注意人物と認める
- 面白いやつを見つけた、と敵側のラスボスクラスのお気に入り認定される
チェック2:ヒロインが活躍し、主人公との仲が深まるシーンが存在するか(任意)
やはり、おざなりにしちゃいけないのがヒロインの存在!
どうやって仲を深めるぽよ?
分かりやすい例ですと、ヒロインのピンチを主人公が救うパターンですね。
- 敵のボスとの一騎打ちで優勢かと思ったそのとき、ヒロインが人質に!
- 敵の一撃が放たれたそのとき、ヒロインが身を挺して主人公を庇い、傷ついてしまう
- ヒロインが敵ボスの呪いで、命のタイムリミットが刻一刻と迫っている
「おまえは俺が必ず救い出す!」
という展開ですね。
含めるかどうかは任意のチェック項目にしましたが、こういった展開を設ければ、ご褒美としてヒロインの最高の笑顔と好意がいただけるわけです。
それが男の憧れというやつかぽよ
妄想とも言う
他にも、ヒロインとの愛を深めることが、敵ボスを倒す決め手になるというやり方もあります。
「ヒロインの中に眠る強力な力を制御するためには、王子様のキスが必要」
という設定にして、最後の最後でキスをすることで、ヒロインの力を呼び起こし、敵を撃破ってわけです。
魔力の制御のためだとか、契約の儀式だからとか、理由こじつけて唇を奪うぽよね
そのとーり!
こういった設定でいく場合、
主人公は「仕方なく」「だけどまんざらでもない」感じを出しましょう。
ヒロインは「最初は驚き戸惑うも」「責任取ってくださいね」なーんて感じで、主人公への愛を高めましょう。
転:戦いの決着がつく
チェック1:チート能力や現代の知識を上手く使った問題解決方法になっているか
これ、異世界チート系のテンプレのほとんどで、同じチェック項目があるぽよね
チートを使った決着の付け方じゃないと、何のためのチート能力なのかわからないですからね
さっき、ヒロインにキスしてヒロインの力で敵を撃破、みたいな話もしていたぽよ
あれはどうなのかぽよ
ヒロインの力を引き出すには、主人公のチートが必要っていう設定が望ましいですよね
そういった感じで、チート能力を上手く使った決着の付け方にしましょう。
チェック2:問題解決が主人公の力によるものになっているか
これも他のテンプレで同じ項目があるぽよね
異世界チート系は主人公の活躍を通して、読者に爽快感を与えるのが最大の魅力です
だから主人公が解決の中心になっていないと、読者に気持ちよさを感じてもらえませんよ。
結:国王などの権力者からの賞賛、信頼を得る
チェック1:権力者からの賞賛、信頼を得る描写が存在するか
国レベルの戦いを解決した主人公は、当然ながら国王などの権力者から賞賛や信頼を得られますね
でも、権力者は裏で主人公を利用してやろうとか、姑息なことを考えていそうぽよ
そういう権力者もいるでしょう
しかし異世界チート系では、そういった策略をする役回りは、国のトップではなく大臣だったり別の国の悪い王様にやってもらったほうがいいです。
国のトップは異世界チート系では、以下のような人物にすべきでしょう。
- 物事を見極める力に長けている
- 民を思うやさしさを持っている
- 悪に対する厳しさを持っている
- 権力だけでなく、剣の腕前も最強レベル
- 国王として人の前に立つときは貫禄充分の迫力を見せつつ、プライベートは気さくで無礼講バンザイの豪快なおっさん
異世界系では、よく見かける王様ぽよね
なぜこういうトップにしたほうがいいかっていうと、これも主人公を通して読者に気持ちよさを与えられるからです
- そういう人なら主人公の力も知能も、ストレートに認めてくれる。
- 剣の腕前があるので、手合わせや眼力などで主人公の力を試すことができる。
主人公の力量に対する賞賛も説得力がある。 - プライベートでは無礼講なので、実力を認めた主人公とはすぐに友達になってくれる。
なので主人公は「国のトップと友達」という、特別な存在になれる。
いや~、気持ちえ~ですのう
こんな王様にするのは、こういう狙いがあったからぽよね
チェック2:周りからの賞賛を得る仕掛けがきっちり作られているか
大きな戦争を終結させた主人公は、当然ながら英雄です
なので、英雄として周りからの賞賛が得られる仕掛けをきっちり作りましょう。
- 世界で一人にしか与えられない、勇者の称号を国王から与えられる
- 主人公の活躍を称え、国中を回るパレードが催される
などなど、周りの民、兵士、仲間たちからの賞賛を得る仕掛けがあると、盛り上がりますね。
そういう派手なものじゃなくても、周りから賞賛されている描写をきっちり描きましょう。
チェック3:後のストーリーに続く伏線があるか(任意)
これは、この壮大ストーリーが完結した後もまだお話が続く場合のチェック項目です
章の最後に、先を期待させる伏線を張っておきましょう
どうすればいいぽよ?
よくあるやつだと、
- 国同士の戦争をけしかけた裏の人物が主人公と接触してくる
- 主人公の力に興味を持った、さらなる強敵の存在をちらつかせる
- 敵のボスでかなりの強敵だった魔神が、実は大量に存在するという可能性を臭わす
こういった伏線を張ることによって、次の章も読みたくなるよう読者を掴んでおくのです
まとめ
今回は異世界チート系の最後のテンプレ「壮大スケール」パターンをお届けしました。
# | 工程 | ストーリー展開 | チェック内容 |
---|---|---|---|
1 | 起 | 国家レベル、巨大な力を持った組織間の抗争勃発 | 主人公しか手に負えない強敵が存在するか |
2 | 主人公が戦いに参戦する | - | |
3 | 承 | 抗争の解決に向けて主人公が動く | 仲間の能力を上手く使った作戦、情報収集といった問題解決の準備が行われること |
4 | 主人公の知能の高さがうかがえる作戦や行動が存在すること | ||
5 | 抗争を盛り上げる敵の動きがある | 敵側に策略や不穏な動きをほのめかすシーンがあるか | |
6 | 敵がどれだけ強い力を持っているかがわかるエピソードを交えること | ||
7 | 主人公と敵が相まみえる | 問題解決に向けて動く主人公に、周りからの賞賛が高まるシーンがあるか | |
8 | ヒロインが活躍し、主人公との仲が深まるシーンが存在するか(任意) | ||
9 | 転 | 戦いの決着がつく | チート能力や現代の知識を上手く使った問題解決方法になっているか |
10 | 問題解決が主人公の力によるものになっているか | ||
11 | 結 | 国王などの権力者からの賞賛、信頼を得る | 権力者からの賞賛、信頼を得る描写が存在するか |
12 | 周りからの賞賛を得る仕掛けがきっちり作られているか | ||
13 | 後のストーリーに続く伏線があるか(任意) |
壮大ストーリーの大雑把な流れは以下のとおり
- 巨大組織同士の争い、国家レベルの抗争に巻き込まれる
- 主人公、大立ち回り
- 最後は主人公が決め手となり、争いに終止符を打つ
- 主人公の評価がうなぎ上り。英雄の地位を手に入れる
どんなテンプレでも、事件が起きて、主人公が解決して賞賛される流れは同じぽよね
以下の記事で紹介している「組織構成テンプレート」も合わせて活用すると、さらにストーリーが作りやすくなりますよ
当然ですが、テンプレがすべての作品に共通するわけではありません
とはいえ、様々な異世界チート系の作品に当てはまるテンプレになっています。
あなたの異世界系ストーリー作りの助けになれば、幸いです。
おつかれさまでした
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